私語(ささやき)の声

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その音を聞いたばかりでも季節は知られた。
それは春先する、おもしろそうな、笑うようなさざめきでもなく、
夏のゆるやかなそよぎでもなく、永たらしい話し声でもなく、
また末の秋のおどおどした、うそさぶそうなお饒舌(しゃべ)りでもなかったが、
ただようやく聞取れるか聞取れぬほどのしめやかな私語(ささやき)の声であった。
                   国木田独歩「武蔵野」の中に引用された二葉亭四迷「あいびき」より

滋賀県高島市朽木生杉にて

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