2013/11/16 私語(ささやき)の声 その音を聞いたばかりでも季節は知られた。それは春先する、おもしろそうな、笑うようなさざめきでもなく、夏のゆるやかなそよぎでもなく、永たらしい話し声でもなく、また末の秋のおどおどした、うそさぶそうなお饒舌(しゃべ)りでもなかったが、ただようやく聞取れるか聞取れぬほどのしめやかな私語(ささやき)の声であった。 国木田独歩「武蔵野」の中に引用された二葉亭四迷「あいびき」より滋賀県高島市朽木生杉にて
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