2022/06/23
へそを落とした話
こけしのつづきを。
m.zuiko 30mm 3.5 macro

m.zuiko 30mm 3.5 macro
あるところにあった”エッセイ”が面白かったので引用します。
へそを落としました、という知人がいる。Kさんだ。年は三十半ばくらい。誰かが「端正だ」と褒めていた、おひな様みたいな優男である。
その顔が、青ざめている。・・・
「落としたって、どこでですか」
「自宅の、風呂場」
シャワーを浴びていて、ふと足元を見るとへそが転がっていく。ああどうしよう、まさか、と思っている間に、大事なへそはシャワーの湯ごと、排水口へ吸い込まれてしまったらしい。
じゃあ、今、へそ、無いんですね。半分笑いながら訊くと、うつむき加減の小さな声で「怖くて、それから、見られなくて」。
これを噓と言うのは簡単だ。しかし、わたしはわりに、情に篤いたちである。噓でしょう、見まちがいでしょう、と言う代わりに、へそがどうしたって言うんですか。へそなんか無くてもなんとかなりますよ、と励ました。・・・(「群像」2015年4月号 早助よう子「善き人々の受難」)
読みながら緑色のカエルを思い出したのは、昭和のカゼ薬CMがしっかり記憶されているせいに違いありません。
沖縄の日なので、塚本邦雄「新歌枕東西百景」中、沖縄縣那覇市首里桃原町という地名からつくられた歌を。
ぬばたまの夢の海溝くぐり來て首里の泉に浮く桃の花 (塚本邦雄:新歌枕東西百景)
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