2023/04/30
同化
これはもう残りものという言葉も使えない、残渣というかとごりというか。

”排除アート”という言葉を聞いてその気味悪さにぞっとしました。
3歳のころ奈良公園でベンチで横になって眠ったpithecantroupusを父が撮った写真の背景に乞食の母子が写って、その母親から猛烈に叱られたという記憶はないのですが、父から一度だけ聞かされました。
前にも引用した「スーパー獣医 野村潤一郎先生の動物エッセイ」を読んで思い出しました。
当時浅草に暮らす物乞いの男性は非常に印象的だった、何と愛犬を連れていたのである。白い雑種だったが、どこかで拾ったと思われる造花で飾られ、主人と一緒になって神妙な顔つきできちんと並んで座っていた。
これを見た私は、犬にこんなことをさせるなんて反則だよと腹立たしさを覚えつつも、彼の愛犬の遠慮ぶかげにこちらを見る瞳の中にその主人と同化した心を見てしまったのだ。
犬は主人そのものをうつす。・・・
だからこそ、犬を飼う者は克己の精神の下に心と体を鍛え上げ、命を燃やして勤労して税金を納め社会に貢献し、恥ずかしくない人生を送り、犬が尊敬できる人となるべきだ。
pithecantroupusには無理だぁ。
飼犬百合若逝いて九年家中(いへぢゆう)のどこにも彼の肖像がない (塚本邦雄:獻身)