2022/07/31
労働を忌みつつ
きのうの窓つながりで。


テレビやネットで水木しげるの記事をよく見かけると思ったら生誕100年だそうです。
雑誌「有隣」に作家京極夏彦が書いていた一部を引用します。
彼は、水木がいつも幸せそうに見えたといいます。
実際、水木さんは「幸福は隠すのが大変デスよ」とおっしゃっていた。別に隠す必要はないと思うのだが、どうもそれは違うのだという。・・・ご家庭に雑誌の取材が入った際に、食卓にあがったトンカツを隠してまで貧乏アピールをしたという逸話が残っているくらいだから、本気で隠していたのである。(京極夏彦「水木しげるさんとシアワセのこと」)
京極は水木の言葉をいくつも引用しています。「人生は70を超してからですヨ」「80を過ぎてからの方が幸福が実感できますネ」「世の中には不幸な人が多いし、自分は不幸なのだと思い込みたい人はもっと多いンだ」「大した苦労はなくても、血の汗を流しているようなフリをするのが肝心なんですヨ。あんたも苦しんでいるフリをしなきゃイカンのです」「そりゃエラかった(大変だった)」「どうであっても働かにゃ死んでしまうんデス!」
水木は父より少し年上です。父にも「どうであっても働かにゃ死んでしまうんデス!」という時代があったと思います。そのことは息子の職業選択にも影響しています。
勞働を忌みつつ生きしわが上に空梅雨の市電火花散らしつ (塚本邦雄:綠色研究)
わが上がわが父上と読んでしまうpithecantroupus。