2022/01/31
歌うたふ
たった10分のお散歩だから残りものもこれだけ。天地逆さまが気にならない、ただの大根に引きつられる「恍惚の人」。ボケないぞと思ってももうだめかも。

7artisans 50mm

7artisans 50mm
夏大根に家中(いへじゆう)の口しびれつつ今日終る 國歌うたはず久し (塚本邦雄:日本人靈歌)
10年前にレビー小体型認知症と診断された樋口直美「間の人」(晶文社スクラップブック)に、
「誰の手も借りずに歯を食いしばってがんばるのは、自立ではなく孤立だ」と読んで、ギクリとしたことがある。・・・
人間関係は、基本的に面倒で、煩わしさがつきものだ。40年前に故郷を離れ、そんな面倒を避けて生きてきて、辿り着いたのが、この「孤立社会」か。自由で気楽で快適な生活を、誰もが当たり前のように求め、謳歌してきた結果がこれなのか。そう思うと、スーッと体が冷たくなる。2年近く続くコロナ生活の中で、孤独が骨まで沁みてくる。
と書き、人間の弱さを語ったあと、天体望遠鏡で見た銀河の星々のあり様に気付かされて、
もし今、未来が見えなくて、不安を抱えていたとしても、衰えていく中にあるとしても、あなたは、大切な人だ。
「あなたは、大切な人だ」
私も自分に繰り返し言おう。どんな病気でも、若さを失っていっても、仕事がなくても、お金がなくても、孤独の中にいても、あなたは、大切な人だ。
だから人に助けてもらうことに引け目を感じたりすることなんてない。いろんな人に助けてもらいながら、どうにかやっていけたらいい。自分もできることがあるときは、手を貸したりしながら。そんなふうに少しずつ、つながっていけたらいいなと、今、思っている。
恍惚でもいいんだ、大切なんだ。よかったぁ。