2020/04/30
殘酷なる四月
きょうも1月末と4月初めのウメ、サクラです。ダメ同士なので2枚セットの大安売りで、どうだ!殘酷なる四月夕べをうつむきて歩めりき蜜月の花婿 (塚本邦雄:驟雨修辭學)

olympus e-m5mk3 135mm

olympus pen-f 85mm
先日引用した内田樹のインタビューで、最後のところはもう少しつづきがありました。「大人」を増やすのが大事という文のつづきです。
内田 (カミュの)『ペスト』では、猛威を振るうペストに対して、市民たち有志が保健隊を組織します。これはナチズムに抵抗したレジスタンスの比喩とされています。(略)
『ペスト』の中で最も印象的な登場人物の一人は、下級役人のグランです。昼間は役所で働いて、夜は趣味で小説を書いている人物ですが、保健隊を結成したときにまっさきに志願する。役所仕事と執筆活動の合間に献身的に保健隊の活動を引き受け、ペストが終息すると、またなにごともなかったように元の平凡な生活に戻る。おそらくグランは、カミュが実際のレジスタンス活動のなかで出会った勇敢な人々の記憶を素材に造形された人物だと思います。特に英雄的なことをしようと思ったわけではなく、市民の当然の義務として、ひとつ間違えば命を落とすかもしれない危険な仕事に就いた。まるで、電車で老人に席を譲るようなカジュアルさで、レジスタンスの活動に参加した。それがカミュにとっての理想的な市民としての「紳士」だったんだろうと思います。
「紳士」にヒロイズムは要りません。過剰に意気込んだり、使命感に緊張したりすると、気長に戦い続けることができませんから。日常生活を穏やかに過ごしながらでなければ、持続した戦いを続けることはできない。
「コロナ以後」の日本で民主主義を守るためには、私たち一人ひとりが「大人」に、でき得るならば「紳士」にならなけらばならない。私はそう思います。
pithecantroupusは「紳士」とはいえないけど、自粛中にセクシーキャバクラや大分県の神社にいくほど「恥知らず」ではないよね。