勇気がない臆病者

外へ出る勇気がないので、いつもの『記念写真』を撮りました。回想法にどうぞお付き合いを。

生まれてはじめてもらった給料で買ったマミヤプロフェッショナルです。

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pen-f m.zuiko 25mm

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pen-f m.zuiko 25mm

C330を買った翌年にC330fを買い、いつもこの2台にレンズ2、3本持って出かけていました。
フィルムは2台とも同じフィルムを入れるようにして、カラーのときはプリント代が出せないのでポジフィルムでスライドばかりとってました。66判のスライドは迫力があって飽きなかったのですが、スライド枠に入れて映すだけなので、正方形のままノートリミングの写真を撮るのが習慣になりました。

横好き

一昨日はウラ、昨日は正面でしたので、きょうは家のヨコで撮った写真です。
といっても毎度のトタンと窓です。

横には「アブノーマル」といったニュアンスがあるようで、「下手の横好き」というpithecantroupusにふさわしい言葉もあり、横側に目を引かれるのは元々の性癖のようです。季節がズレますが、

 苧環(をだまき)は風にほろぶる 総領の蹴球横好きにして天才  (塚本邦雄)

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olympus e-m5mk2 nocticron 42.5mm

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olympus e-m5mk2 nocticron 42.5mm

絵空事

赤と青。若い子はいいなあ。

歌はポスターつながりで、
 自衛隊員募集ポスター斜(はす)に裂け「みづからをまもる」てふ繪空事  (塚本邦雄)

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olympus e-m5mk2 nocticron 42.5mm

のウラで

相変わらず何が面白いのといわれそうな写真は、お寺のウラ、お店のウラで撮りました。
ウラは好きです。(むかし〇〇本とか〇〇ビデオというのも好きでした。(汗))

 塋域に白雨 山川呉服店累代の墓碑何ぞしたたる  (塚本邦雄)

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olympus e-m5mk2 nocticron 42.5mm

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olympus e-m5mk2 nocticron 42.5mm

こちらへいらつしやい

なぜこんなものを撮るのか、自分で自分の目を疑います。でも気になったのです。”青い色”は好きですよ。私の先祖はチルチル・ミチルですから。(ウソ!)

 こちらへいらつしやいシャイロック陸(ろく)でなし梨の花チルチル・ミチル道  (塚本邦雄)

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pen-f m.zuiko 17mm

台風で一日中雨でした。
魔法使いのおばあさんの目を盗んで記念写真をまた。
オリンパス・ペンEES-2です。実家からオリンパスXAをもらった時に一緒についてきました。
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pen-f m.zuiko 25mm

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pen-f m.zuiko 25mm

きょうの短歌は言葉遊びでしょうか。『いらつしやい』 →『シャイロック』 →『陸(ろく)でなし』 →『梨の花』
(なしの花が散る) →『チルチル・ミチル』 →『ミチル』 →『道』。意味が分からないのはわたしの写真に通じているかも。(笑)

明日へあるひは過去へ

カメラを構えながらあれこれと妄想します。誰もいない風景の中に何年もむかしの人影を探します。

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sigma dp0q
この建物が竣工したとき、人々はどんなことを思ったのでしょう。
地方にこんなモダンなものが建ったという誇り。
ここで働く喜びと希望。
給料をもらったら流行の服を買いにいこうという夢。
笑顔が思い浮かびました。


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sigma dp0q
ファサードは単純で簡素です。よくある屋号の看板もありません。
入り口は民家よりも広いのですが、八百屋や駄菓子屋のように広くはありません。
銭湯のように入口が分かれていないし、食堂のように見本のショーウィンドウはありません。
白い扉は医院のようですが、正面の上半分が不釣り合いです。
何かの事務所でしょうか。どんな人が働いていたのでしょうか。


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olympus e-m5mk2 nocticron 42.5mm
電気の価値はむかしの方が高かったような気がします。
電気代を払うことにもっと吝嗇だったように思うのは田舎者だからでしょうか。
電気に対する“畏敬”の念があって、それが電気を通す器具への丁寧な仕事になっていたと感じるのです。
単なる街灯とそれを支える鉄のアームですが、機能性だけでない手間仕事を感じます。


 明日へあるひは過去へ時計のねぢ巻くとわが指に夜の蕺藥(どくだみ)臭ふ  (塚本邦雄)

陽の香

古いものがのこっているからといって町が死んでいるわけではありません。クレーンが何かつくっています。パシャ。
ピンボケではありませんよ。これはファッションです。pithecantroupusの個性です。
と、相変わらず苦しい言い訳をしつつ、上ばかり見ている阿呆の写真で。

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olympus e-m5mk2 nocticron 42.5mm

塚本邦雄も、光でと思ったのですが、探し損ねて”陽”で、

 グレープフルーツに西陽の香なにごとも勃(おこ)らぬふしあはせを愛して  (塚本邦雄)

なにごともおこらないのがふしあわせ、といい、
ふしあわせを愛して、という。
こんな言い方は好きです。

まひるの街で

きのうのカボチャの写真は「お使ひなられる方へ 御持ちかえり下さい」に心惹かれて撮りました。「い」を「ひ」と旧仮名遣いで書いた人の年齢が想像され、「に」を省いた書き方に城下町の匂いを嗅いだのです。旧街道に面した家の前はそれぞれきれいに掃き清められ塵ひとつ落ちていません。

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olympus e-m5mk2 nocticron 42.5mm

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olympus e-m5mk2 nocticron 42.5mm

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pen-f m.zuiko 17mm

 幻視街まひる昏れつつ賣る薔薇の卵、雉子の芽、暗殺者(アササン)の繭  (塚本邦雄)

何の罰があたった

きょうあすは所用もあったのに寝たきりです。何も悪いことした覚えがないのになあ。
亀山なお。演武場の雨戸、城跡の木、旧東海道、南瓜です。

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olympus e-m5mk2 nocticron 42.5mm

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olympus e-m5mk2 nocticron 42.5mm

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pen-f m.zuiko 17mm

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olympus e-m5mk2 nocticron 42.5mm

閑日月

いまの亀山は時間が止まった地方都市そのままですが、日中もしずかな町は優しげで好きです。

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pen-f m.zuiko 17mm

記念写真はオリンパスE-P1で、

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pen-f m.zuiko 25mm

シリーズ化されたカメラの初代機にはつくった人の”思い入れ”がうかがえます。
E-P1の軍艦部のエッチングは、機能的にもデザイン的にもあまり意味のないもののように思うのですが、誇らしげな”Since 1959”に微笑んでしまいます。
こういう部分は二代目以降は消えていって、どんどんつまらないカメラになっていくように感じます。
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pen-f nokton 25mm

 閑日月? 戀文の反故(ほご)燒きつくしその灰葱畑に撒きちらす  (塚本邦雄)

城のあるじが

きのうにつづき亀山です。石垣の一部と復元された櫓に城下町だった記憶を残しているようです。

 一國一城のあるじが露草の花もて滿たす夏至の雪隠  (塚本邦雄)

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pen-f m.zuiko 17mm

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pen-f m.zuiko 17mm

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pen-f m.zuiko 17mm

三重県は改選数1で今回ひとりだけ当選します。だれが”あるじ”になるのかなあ。みんな若いなあ。

吾もすみやかに老ゆ

引きこもってばかりいると老化の進行が早まると心配してくれた友人が外へ連れ出してくれました。
となりの亀山市です。

ここはJR東海とJR西日本の接点で、関西線と紀勢線の分岐点だったので、亀山駅といえばむかしは大きな駅でした。
城跡の公園に記念の蒸気機関車がおかれたいました。

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olympus e-m5mk2 nocticron 42.5mm

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olympus e-m5mk2 nocticron 42.5mm

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olympus e-m5mk2 nocticron 42.5mm

ここは40年前に住んでいた町です。
子供たちがここで生まれ、小学校に通いました。
やっぱり回想法です。

 吾もすみやかに癒ゆ まぼろしの汽罐車を停めて火明(ほあか)りに鹽嘗(な)むる火夫  (塚本邦雄)

アルツハイマーのズノー

pithecantroupusが写真好きだと知って、のこのこと我が家にやってきたカメラも「記念写真」のモデルになってもらいました。
ワルツオートマット44という、ズノー6cm f2.8がついた二眼レフです。

父から”ズノーレンズ”のうわさは聞いていましたが、まさか実物が手に入るとは思っていませんでした。
探せば、ワルツ社のフラッシュガンとフィルターがどこかにあるはずなのですが、記憶がどんどん薄れていってるから見つけるのは無理だろうなあ。(涙)

 花菖蒲祝出征の幟(のぼり)のみおもひだすアルツハイマーの父  (塚本邦雄)

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olympus e-m5mk2 e.zuiko25mm

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olympus e-m5mk2 e.zuiko25mm

ベスト判フィルムを使って4×4cmの写真を12枚撮れると、カメラと一緒にフィルムも一本もらったのですが、まだ撮ったことがありません。
ベストフィルムは細軸なのでフィルムの巻き癖が強いそうです。
ブローニーフィルムを使う66判よりもカメラが小さくなるので、女性向きと宣伝されていたようです。

思い出はあざやかに

撮影に外出していないので家の中で「記念写真」を撮って、回想法で脳の劣化を遅らせたい。切実な願いです。
ということで、今回はオリンパスD2です。

郷愁のD2なので、塚本邦雄も「思い出」で、

 夏風邪にくちびるかわく蜃氣樓(かひやぐら)見しおもひでのあざやかにして  (塚本邦雄)

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olympus e-m5mk2 e.zuiko25mm

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olympus e-m5mk2 e.zuiko25mm

オリンパスDを短期間つかったあとD2に買い換えたのですが、内臓露出計の示すライトバリュー値を読んで絞りとシャッタスピードを決めるというのが、当時すでに他社から出ていた追針式に比べて遅れているように感じました。『ライトバリュー』の勉強にはなりましたが。
発売時には、それまでのペン機種の回転ヘリコイドが直進ヘリコイドになったことが強調されました。ヘリコイドを動かすレバーのスムースな動きに感動した覚えがあります。

ザクロ萌え

グラジオラスの歌が歌集「緑色研究」の『国王Lと哲学者Nによせる脚韻二十行詩』にあるのを忘れていました。以前にも引用したかもしれません。信用ならないのはpithecantoroupusの頭です。

 神空に治しめさざる野の夜をグラジオラスが類ひなき花序  (塚本邦雄)

が、肝心のグラジオラスの写真がなくて、かわりに隣家のザクロの花です。
はやく実にならないかなあ。
あっ、盗んだりしませんよ、写真撮るだけです。でも、一粒ぐらいならいいかな。一粒だけ。

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olympus e-m5mk2 om.zuiko50mm

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olympus e-m5mk2 om.zuiko50mm

 柘榴萌えてまだ鼻聲のイグナシオ神父に葛根湯たてまつる  (塚本邦雄)

国王Lと哲学者Nはルートヴィヒとニーチェとどこかで読んだ記憶があります。

残り夢

雨に折れたグラジオラスがなかなか思ったように撮れなかったので、ハス田の残り物でごまかすことにしました。(汗)
あっ、ごまかしにもなっていない! (笑)

 もてあそぶ言葉や露のゆふぐれに殘んの蓼のみだるくれなゐ  (塚本邦雄)

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olympus e-m5mk2 lensbaby 5.8mm

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olympus e-m5mk2 lensbaby 5.8mm

ブルトンを引用してから、ついついむかし買った本に手が伸びて、ノスタルジーの沼に溺れかけています。
これでは家事労働にも支障が出てしまいます。やるべき事がいっぱいあるというのに、です。
でも、ノスタルジーの誘惑に負けてしまいそうです。

「紙」の信奉者

グラジオラスの歌がないと書きましたが、塚本邦雄の若書きの遺稿のなかに、
“背き去る女にグラディオラスの花序”
という俳句がありました。

彼の俳句は短歌のための覚書の役割を持っていたかのように、この俳句の前後にある、
“ひまはりに幾百の舌ひるがへる”や“密會や扇のようにひろがる夜”は、「水葬物語」の、
“永いながい雨季過ぎ巨(おほ)き向日葵にコスモポリタンの舌ひるがへる”や“密會のみちかへりくる少女らは夜を扇のやうに身につけ”を連想させます。
グラジオラスの俳句に対応する水葬物語の歌は見つかりませんが、
“赤い旗のひるがへる野に根をおろし下から上へ咲くジギタリス”が「花序」という言葉で対応するのかもしれません。

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olympus e-m5mk2 e.zuiko75mm

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olympus e-m5mk2 helios 85mm

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olympus e-m5mk2 helios 85mm


ブルトン「自由な結合」は學藝書林社 全集・現代文学の発見第7巻「性の深淵」(昭和45年4月30日発行)から引用しました。これを初めて読んだのは別の本だったと思うのですが、心当たりの本を探しても見つけられなかったので、こちらから引用しました。

出版社の學藝書林は当時先鋭的なアンソロジーの全集を出していて、しかも安価でしたのでお金のない学生には魅力的でしたが、装丁や紙質は安っぽく活字も小さくていかにも貧しい若者向きでした。
それと誤字誤植が他社の出版物に比べて多いように感じました。きのうの引用文にも間違いではないかという字もあるのですがそのまま引用しています。

ネットで「自由な結合」を検索するといくつか訳文を見つけることができるしそちらのほうが分かりやすいものもあるのですが、pithecantroupusは「紙」の信奉者ですので、インターネットの検索結果をそのまま引用できずに、せっせとホコリを払って50年も前の本を引用しました。

ブルトンの

家事労働の大切なひとつは庭の草取です。雨でしばらくさぼっている間に雑草はすくすく育ってまた元の木阿弥になっています。(涙)
そこで雨の合間をぬってちょっとだけ草取をしようとしたのですが、雨滴のついた雑草にpithecantroupusのおさぼり心が目覚めてしまい、思ったような”草”写真が撮れずに雨に折れてしまったグラジオラスです。

ピンクのグラジオラスが一番好きな花なのですが、残念ながら色違いです。
グラジオラスらしくないのはpithecantroupusがアマノジャクだから。(汗)

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olympus e-m5mk2 e.zuiko60mm macro

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olympus e-m5mk2 e.zuiko60mm macro

”グラジオラス”は6文字なので短歌向きでないのか、塚本邦雄の短歌を見つけられませんでした。
グラジオラスが大好きなのはシュールレアリスムのアンドレ・ブルトンの詩のせいです。
引用が長くなりますが澁澤龍彦の訳で、

自由な結合

わたしの女は 焚火の髪の毛
そして 熱い電光の思念
わたしの女は 砂時計の胴
虎の歯のあいだの川獺(かわうそ)の胴
わたしの女は 花結びの口 星屑を集めた花束の口
白い地面の上に白い二十日鼠の刻印した歯
琥珀の舌 磨いたガラスの舌
わたしの女は 短刀で刺された聖体パンの舌
眼をあけたり閉じたりする人形の舌
不思議な石の舌
わたしの女は 子供の書く字劃の睫毛
燕の巣の緑の眉
わたしの女は 温室の屋根のスレートの顳顬(こめかみ)
そして 窓ガラスの湯気の顳顬

わたしの女は シャンパン酒の肩
そして 氷の下の海豚(いるか)の泉の肩
わたしの女は マッチの軸木の手首
わたしの女は 偶然の指 ハートの一(エース)の指
刈られた乾草の指
わたしの女は 貂の腋の下 橅(ぶな)の実の腋の下
聖ヨハネ祭の夜の腋の下
水蝋(いぼた)の樹の脇の下 エンゼル・フィッシュの巣の腋の下
海の泡の腕 水門の腕
そして 小麦と 製粉機の混り合った腕
わたしの女は 紡錘(つむ)の脚
時計仕掛の脚 絶望の運動をする脚
わたしの女は 接骨木(にわとこ)の髄の腓腸(ふくらはぎ)
わたしの女は 頭文字の足
鍵の束の足 酒を飲む槙皮(まいはだ)詰め職工の足
わたしの女は 精白しない大麦の首
わたしの女は 黄金の谷の胸
奔流の河床におけるランデ・ヴーの胸
そして 夜の乳房
わたしの女は 海の土竜塚(もぐらづか)の乳房
わたしの女は ルピーの坩堝(るつぼ)の乳房
露けき薔薇のスペクトルの乳房

わたしの女は ひろがる光の扇の腹
巨大な爪の腹
わたしの女は 垂直に逃げる鳥の背中
水銀の背中
光線の背中
ころがる石の襟首 湿った白墨の襟首
飲んだばかりのコップの落下の襟首
わたしの女は 小舟の腰
シャンテリヤの腰 矢羽根の腰
そして 白孔雀の羽根の軸の腰
動じない天秤の腰
わたしの女は 砂岩の臀 石綿の臀
わたしの女は 白鳥の背の臀
わたしの女は 春の臀
そして グラディオラスの性器(セツクス)
わたしの女は 金鉱床の性器 鴨嘴獣(かものはし)の性器
藻類の性器 古いボンボンの性器
わたしの女は 鏡の性器
わたしの女は 涙がいっぱいの眼
紫色の甲胃の眼 磁石の針の眼
わたしの女は 大草原の眼
わたしの女は 牢獄で飲むための水の眼
わたしの女は つねに斧の下にある樹の眼
水準器の眼 空気と土と火の 水準器の眼

ぺん

オリンパスフレックスの先日の写真に自己満足したので、「記念写真」も続けようと、初代のオリンパス・ペンFを持ち出してきました。
手を抜いて埃も払わず撮ってしまいました。なつかしくて、早く撮りたかったのです。(汗)
カメラがかわいそうですね。

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olympus e-m5mk2 e.zuiko25mm

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olympus e-m5mk2 e.zuiko25mm

2枚目には純正のオリンパスのNDフィルターがつけてありますが、いまではなつかしいかぶせ式のフィルターです。

塚本邦雄も”ペン”で、
 日本脫出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも
 詩に滅ぶこころあれどもシャープペンシル替芯の睫毛のひびき
 私淑とは師に遠離(とほざか)る口實のひとつ 天邊(てつぺん)に棗熟れをり

反省中

きのうの4年前写真と比較する今年のハス写真、いわば”反省文”、です。
反省ばかりしていないで新しい写真を撮ればいいのですが、撮った写真は何でもブログにあげたくなる”貧乏性”なので。

 ラフマニノフ三番變ホ長調を戀ふればヴォルガ河口の蓮(はちす)  (塚本邦雄)

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olympus pen-f samyang 135mm

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olympus e-m5mk2 lensbaby 5.8mm

明日の世界

2015年に同じ場所でハスを撮ったあと自分がちっとも進歩していないので、反省を込めて4年前の写真をムービーにしました。
サウンドは「船上のピアニスト」から、



 石に坐し明日の世界を彈きいだす冷酷なピアニストを戀ふも  (塚本邦雄)
 

人のふり見て我がふり直せと小さいころから言われ続けてきましたが、他人の欠点は目につくのに自分のそれにはちっとも気づきません。
ハスを撮っていると、私と同じようにカメラを構えた、わたしと同じ程度の年齢と見える人たち(女性も多いです。)が目につくのですが、つい、「もっと脇を閉めんかい」とか「ファインダーを覗いたままズームリングをグリグリ回すな」とか、ちゃちゃをいれたくなります。(笑)

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olympus pen-f samyang 135mm

残念なオリンパスフレックス

浮気者のpithecantroupusは気分転換して今日は「記念写真」です。
カメラはオリンパスフレックスA2.8で父からのお下がり。学生時代はオリンパスペンFとともにpithecantroupusのメイン機材でした。

古いズイコーレンズによくある現象のようですが、硝材が風化してレンズが濁ってきています。
でも革ケースやフード、バヨネット式のフィルター、レンズキャップは健在です。

父は購入時にミノルタ(当時は千代田光学か?)のオートコード(?)か、オリンパスフレックスか迷った末に後者にしたようですが、
今になればオートコードのほうが実用的だったように思います。
どちらにしようか迷って残念な方の選択をしてしまうのは我が家のDNAです。(汗)

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olympus e-m5mk2 e.zuiko25mm

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olympus e-m5mk2 e.zuiko25mm

 アインシュタインなる一石(ひとついし) わが家にも孤り石頭(いしあたま)の父がゐて  (塚本邦雄)

俗に堕し

写真を撮ってRAW現像するばかりで、最近ちっとも印刷していません。そのせいか、どうも写真が安直に流れているようです。
反省はしているのですが、写真に集中できない日々が続いて、言い訳ばかりしています。
言い訳が多くなるのは老人です。ブレーキを踏んだのに止まらなかったなんて。

 俗に還ると言(こと)には告げて俗に堕し底紅木槿(そこべにむくげ)の底に蟻の屍(し)  (塚本邦雄)

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olympus pen-f samyang 135mm

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olympus pen-f samyang 135mm

目つむればひらく紅白

きょうはチャレンジャーで、苦手な植物系にジンマシンをがまんしながらがんばった成果です。その精神だけは「嘉」ということで。(汗)
おなじ場所でハスを撮ったのは2015年7月でしたが、そこからちっとも進化していないというか、むしろ後ろに下がっているようで、われながら呆れます。

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olympus pen-f kenko 300mm

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olympus e-m5mk2 lensbaby 5.8mm


季節外れの歌ですが、
 春いまだ沼の夕風わびしきに目つむればひらく紅蓮白蓮(ぐれんびやくれん)  (塚本邦雄)

動物でも植物でもない写真で

ハス祭りの蓮田へでかけて、またハスを撮らずに「何撮ってるの?」の写真です。
ほんとうは子供の姿も撮ろうと努力したのですが、人間が不得意なpithecantroupusは満足な写真が撮れなかったのです。
あっ、動物系だけでなく植物系も苦手でした。(笑)

ということで、動物でも植物でもない写真です。

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olympus pen-f samyang 135mm

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olympus pen-f samyang 135mm

 一人(いちにん)の人閒の罪科(つみ)しづかなる重さもち紫陽花が剪られつ  (塚本邦雄)



七月の蓮田

「記念写真」のネタは尽きないのですがひと休みして、きょうは家事労働でウツウツとしているpithecantroupusをあわれんだ友人が、先日訪れた「穴虫の郷」へ小一時間ほど誘ってくれました。今回は花も咲いて、「ハス祭り」が開催されまていましたが、お祭りと人混みが苦手なpithecantroupusは逆境に耐え忍んで、半月ぶりの撮影に専念してきました。(写真の出来はもうひとつでしたが。)

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olympus pen-f lensbaby 5.8mm


 七月の泡だつ蓮田 ラスコーリニコフ戦争(いくさ)にゆかば何せし  (塚本邦雄)

光待ち

もうひとつすっきりしない天気を言い訳にして、きょうも身辺整理の「記念写真」です。(汗)

手入れの悪いままのオリンパス・ペンW(ワイド)は、1964年に1万台限定で発売されたとき、「数量限定だから無くなる前に」とおねだりして買ってもらって、そのご10年あまり使い続けました。
オリンパスワイド(1955年 35mmフルサイズ)の評判を記憶していた父は、ワイドへの憧憬をこのペンWで解消しようとしたのかもしれません。

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E-M5mk2 12-50mm ez

今日の写真の背景が「みどり」なので、
 萬葉(まんえふ)のみどりさやけき光待ち母は子とありしののめの海  (塚本邦雄)

引用歌は「新歌枕東西百景」の中の、千葉県匝瑳郡光町(ひかりまち)母子(ははこ)という地名にちなんだ歌です。

堕落して

あちこち片付け始めるとカメラなどのハードもブログのようなソフトもどれもこれも気になるものばかりです。
ついでに記念写真をパチリ。

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E-M5mk2 60mm macro

オリンパス・ペンは一番最初に父が買ってくれたカメラですが、すぐにペンSに買い換えられました。
子供心にはフジペットのほうが格好良く見えたような。(笑)

季節がずれていますが、「熊」がなかなか見つからずに、
 ふだらくや熊野詣では神無月堕落して亡き父を凌げ  (塚本邦雄)


逆さ

だんだんと写真からも平常心が消えていきます。
いえ、もともとそんな高尚なものは持ち合わせていなかったので、
いつものように頭の中がひっくり返っているだけです。白は黒、光は影、暗は明。

 蒼向日葵かがみにうつる脚長し奔れレオナルドの逆さ文字  (塚本邦雄)

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olympus pen-f helios 85mm

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olympus pen-f helios 85mm

真紅にひらく

つごうのいい言い訳を何も思いつかないので、恥ずかしい写真だけど知らんぷりして。

 黴雨空(つゆぞら)がずりおちてくる マリアらの真紅にひらく十指の上に  (塚本邦雄)

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olympus pen-f helios 85mm



ついでに同時に撮った別ショットで遊びました。

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olympus pen-f helios 85mm

水栓(コツク)に

また「何を撮ってるの」です。せっかくの美しい緑の中でこんなものを撮るなんて、りっぱなへそ曲がりです。(笑)
ついでに季節までひねくれて、

 凍てし水栓(コツク)に煮湯そそげる靑年の目の奥の - 或(ある)はシンシン刑務所  (塚本邦雄)

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olympus pen-f helios 85mm

紙フェチでもあるpithecantroupusは最近せっせと昔のスクラップの整理をしているのですが、ついついスクラップの記事を読んでしまって、なかなか先に進みません。整理がすすんだらブログでちょっとずつ紹介したいと目論んでいるのですが、いつになるやら予想もつきません。