もみぢ照りつつ、わが生はいつまで ~五箇山で

11月が終わります。

うれしいことにむかしの仕事仲間がこの時期に小旅行にさそってくれました。
きっとわたしの内気な性格を心配してくれたのだろうと思います。

五箇山相倉で。
写真撮影が目的の旅ではないので・・・と、自分の腕のわるさを棚上げして言い訳するのは、あきらかに認知症の証拠です。
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ZUIKO 50mm F2.0 Macro

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ZUIKO 50mm F2.0 Macro

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M.ZUIKO 17mm

塚本邦雄
 血と肉と隙間にはかに冴えわたるわがうつそみか紅葉(もみぢ)照りつつ
 山脈に紅葉一掴み残りゐる世紀末 わが生はいつまで

夜をしきりに

明治村は閉演時間を午後7時まで延長するイベント中でした。

塚本邦雄
 そら豆の束きずつきて夜の土間ににほふ 日本に死ぬる他なし
 明日へあるひは過去へ時計のねぢ巻くとわが指に夜の蕺薬(どくだみ)臭ふ
 孤独きはまりて寒夜をしきり鳴くカナリアとわが汗噴くからだ

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NOCTICRON 42.5mm

窓から

 鶏頭百本群れゐるあたりおそろしき明治のにほひよどめるなり  (塚本邦雄)

なお明治村。
北里研究所本部、西郷従道邸などです。

窓の写真ばっかりですが。
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NOCTICRON 42.5mm

きのう書いた「夢のゆくえ」の解説ですが、その一節に、

 (鏡花の)作品のオープニングやエンディングが至極きれいである。
 「お爺(じい)さん、お爺さん。」
 「はあ。私(わし)けえ。」
 という「春昼」の書き出しだって、結構清冽なのである。続く文章が「と、一言(ひとこと)で直(す)ぐ応じたのも、四辺(あたり)が静かで他(た)には誰も居なかつた所為(せい)であらう」となっているからである。

とあるのですが、どこがどう清冽なのか鈍感な頭には理解できず困ります。
読んで感じるのは、饒舌さのないことです。事実だけを比喩などの装飾を施さずに書いてあります。
最近の小説やドラマが饒舌で受け手に優しいのとは違って、受け手を試すような、武士のような文章です。
このリズム感を「清冽」の意味ととってもいいのでしょうか。
清水氏は故人となられたので、本の著者のほうに今度確かめようと思っています。

明治にあこがれ

明治村。

学習院院長官舎で。乃木希典がいた官舎だそうです。
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「泉鏡花評論集 夢のゆくえ」(戸田真樹)の解説は故清水信氏が書いているのですが、わたしには「解説」というよりも清水氏自身の鏡花論のように感じられます。
しかし戸田さん自身は、この解説が本の内容をたった3ページで言い切っているといいます。
それは、お二人の鏡花観が一致しているからなんだろうと思います。つまり戸田さんのこの本は清水氏が書きたかった鏡花論なんだと思います。

翔べぬ天使 ~明治村

クリスマスの飾りつけがありました。明治村で。
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もと京都市下京区河原町通五條にあった京都聖約翰(ヨハネ)教会だそうです。
昭和40年に明治村という「博物館」にくる前は信者に大切されてのでしょうが、いまはミサも礼拝も行われず魂のぬけた抜け殻のようです。
でもクリスマスの飾りつけがあって手入れもされていて、本陣の前に立てば何となく厳かな気分です。

塚本邦雄
 くりかへし翔べぬ天使に讀みきかす ―― 白葡萄醋酸製法祕傳
 聖夜たれも見ざる月さすぼろぼろの赭き鐵骨の中をとほりて

ゆかばいろなき

いつまでイチョウといわれそうですが。

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NOCTICRON 42.5mm

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 老いゆかばいろなき冬日きみも背にうけつつ孤り焚かむ枯菊  (塚本邦雄)

黄葉に透く 〜祖父江

けさは一層冷え込んで職場までの道がいつもより長く感じられました。

一昨日は不思議な朝で、職場までの道すがら次々とネコに出会いました。
バス停までに2匹、電車を降りてから3匹、職場についてから部屋まで歩く間に2匹。

みんな同じようにジィーっとこちらを見ていました。
まるでずっとネコに見張られているようでしたが、今朝は寒さのせいか一匹も出会わず、そうなるとかえって寂しいものです。

祖父江、なお。
銀杏のライトアップを一枚だけ。
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ライトアップ! NOCTICRON 42.5mm

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ごめんなさい、パパさんをカットしました DP2Q

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物置小屋が好き! DP2Q

 黄葉(くわうえふ)に透くうすき肉人妻の一人はむかしむかしの蜻蛉(あきつ)  (塚本邦雄)

ふとなみだぐましき 〜祖父江

祖父江はイチョウだけでなく落ち着いたたたずまいのいい処でした。
あちこちに祠があり、墓地には旧軍の階級を記した墓石があり、道路わきに「日清・日露 戦捷」の碑もありました。(画像にリンクします)

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NOCTICRON 42.5mm

きのう書いた「芳香」つながりで思い出すのは、
むかし恩師からよく聞いた、子どものころに、自動車が来ると後を一生懸命追っかけて排気ガスの「芳香」を深呼吸してかいだ話でした。
たしかに、わたしが子どもの頃でもまだあの排気ガスには甘い匂いが残っていたように思います。

塚本邦雄から「香」の歌を引用して、
 石鹸積みて香る馬車馬坂のぼりゆけり ふとなみだぐましき日本
 石鹸に刹那薔薇の香うつされてこの風邪二十日(はつか)癒えざるべし
 燻製卵はるけき火事の香にみちて母がわれ生みたること恕(ゆる)す
 金星に何忘れ来し 歯科医院出て雨の香に口ひらく時

祖父江へはイチョウ撮りに行ったので、そちらの写真も。
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星いずかたに 〜祖父江

塚本邦雄「芳香領へ」(ポーラ文化研究所)の古書を購入しようとしたら郵送が大幅に遅れてしまいましたが、
遅れの原因は本屋さん側ではなかったのに、
購入元「ダイワブックサービス」は代金を無料にしてくれました。 (〔´∇`〕)

本のほうは博覧強記の塚本邦雄がにおいに関する植物、料理、文学などを延々と書いているのですが、
「体臭」にこだわっている様子などに彼らしさを感じました。

写真はなお祖父江。
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昨夜「火球」が見えたそうで、わたしも見たかった。

 とどまらぬ水の上(へ)の星いづかたに文章の火の花散り紛ふ  (塚本邦雄)

香気か臭気か ~祖父江

塚本邦雄の古書を買った顛末をあした報告することにして、同書にあった塚本の文を引用します。

 遠い未来において、映画に開発し得る分野があるなら、それは嗅覚に関する部分であろう。TVの層一層の精密化によって、各場面に香気と臭気を与え、あるものは尾を引き、ある時は刹那に消え去るよう、操作できるに相違ない。・・・・(「芳香領へ」)

これを書いたとき彼は薔薇や料理の匂いや体臭を思い浮かべているようですが、まさかギンナンのあの匂いは頭になかっただろうなあと想像しました。(でも動物由来の香水の一部は濃度が高いと悪臭ですけど)

祖父江で。
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NOCTICRON 42.5mm

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NOCTICRON 42.5mm

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NOCTICRON 42.5mm

うつくしきかな ~祖父江

泉鏡花のお勉強中です。
「泉鏡花評論集 夢のゆくえ」(戸田真樹著)を読んでいるのですが、知識不足で初めからつまずいてばかりです。
漱石が言及した「銀短冊」を青空文庫で探しましたがみつからず、
ネットでさがして篤志家がアップしていてくれたのを読み始めました。(サイトが再構築中らしいのでリンクは止めときます)

ネットは便利ですが、見つけたテキストが本物かどうか、誤字脱字はないかは確認できません。
青空文庫ほどシステム化されていると安心ですが、個人的に篤志家が入力したものはそれなりの注意を払います。
わたしのブログに引用している塚本邦雄の短歌も活字で確認できたものだけにしています。

愛知県祖父江で。
祖父江は日本有数のギンナン産地だそうです。
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溝 に渡した 通路がわりの板に踏まれて貼りついた落ち葉たち NOCTICRON 42.5mm

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赤ん坊のように小さな落ち葉がサトイモの葉にのっていた NOCTICRON 42.5mm

塚本邦雄
 歌はこころにもあらざるをうつくしきかなあつものの中の銀杏(ぎんなん)
 銀杏(ぎんなん)煮つつあるゆふつかたむらむらと西行傳の美辭數十行(すじふぎやう)

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だいじょうぶ、写真ににおいは写らない DP2Q

及かず紅葉 ~杠葉尾(ゆずりお)

きのういただいた泉鏡花の評論をまとめた本をせっせと読んでいる、というよりたどたどしく読んでいます。
鏡花そのものをほとんど読んでなくて、「天守物語」ぐらいです。まずはその原点からたどるのでちっとも前進しません。
とはいえ、いただいた本の評論文の文体がキラキラとして文字をたどるだけでも楽しい。

塚本邦雄
 鏡店すぎゆくわれを滅裂にうつし鏡の墓光(て)りかへる
 秋風の心をうつす鏡石この清ら石まだ戀知らず
 天才には遂にし及かず紅葉をきらきらと泥の上(へ)に撒きちらす

東近江市ゆずり尾。
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HELIOS 85mm

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HELIOS 85mm

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HELIOS 85mm

模糊たり ~大和郡山 (大和民俗公園)

11月も半分済んでしまい今年も残り少なくなって、自分の寿命が短くなったようでちょっと寂しい感じです。
ニュースや他の方のブログで見るイルミネーションの映像が美しくて自分も撮ってみたいなあと思うのですが、おいそれとは出かけられません。

それにきょうは朝から雨ふりで空はどんより、わたしの頭はぼんやり。
こんなときは回想法で。

 霜月の光とぼしく旅行くと模糊たりいま一つのわがいのち  (塚本邦雄)

大和民俗公園。
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うれしい事に、
畏敬する先輩が本を出したと聞いて、立場もわきまえずに図々しくおねだりしたら、
気を利かせて送ってくれました。

でも、中身が高尚で噛みついた歯が折れそうです。(涙)
もしかして、時間をかけて噛みくだけばわたしの脳はかなり改善が期待できるかもしれませんが、
その前に爆発するかも。

帯の清水信先生の言葉もわたしには大切な文です。

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夜寒朝寒 ~奥永源寺

今朝はことさら寒く感じました。

 霜月は夜寒朝寒(よさむあささむ)かはたれに舞ふ巫女(かんなぎ)の緋の袴さへ  (塚本邦雄)
   毎日新聞社「新歌枕東西百景」のなかの神奈川県高座郡寒川(さむかわ)町を読んだ歌だそうです。
   巫女さんが出てくるのは寒川町に相模一の宮があるからでしょうか。

東近江市奥永源寺あたりで。
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HELIOS 85mm

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HELIOS 85mm

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HELIOS 85mm

悪戯の報告

いぬ年の準備を考えるのですが、年賀状の絵がなかなかできません。
毎年干支の人形とカメラの組合せなのですが構想が浮かばないのはきっと頭が衰えているせいでしょう。

やけっぱちでやった悪戯の報告を。
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わが飼へる犬が卑しき耳垂れて眠りをり誰からも愛さるるな  (塚本邦雄)

愚かなりしきのふ

日曜日を終わらせてしまう月曜日がきらいですが、日曜日から一番はなれている水曜日は二番目にきらいです。
毎日が日曜日の生活をしていても、やっぱり日曜日は特別です。テレビだって特別番組になってますから。

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HELIOS 85mm

 愚かなりしきのふのわれを言はざれば皎(かう)とし荒るる花薄原  (塚本邦雄)

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HELIOS 85mm

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HELIOS 85mm

まぶたの裏に色とどめ

「色気なし」は一日しかもちません。
また元通りというか元の木阿弥というか、意志の弱い事です。

東近江市政所で。
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HELIOS 85mm

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HELIOS 85mm

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 紅葉は瞼のうらに綠金(りよくこん)の翳とどむるを「無かりけり」とぞ  (塚本邦雄)

気ままわがまま思うまま

今月初めに紅葉を撮れないと嘆いていたのに、いつの間にか紅葉の写真ばかりになってしまいましたので、気分転換に色気のない写真で。

大和民俗公園で、個人的には「回想法」のつもり。
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大和民俗公園は大和郡山市の西にあって、奈良県の四つの地域を代表する江戸時代の民家が15棟移築されているのですが、わたしがいったときは季節はずれの台風のせいで雨漏りの跡があちこちに見られました。

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ZUIKO 75mm 1.8

このような家に住んだことはありませんが、絵本や子供雑誌の世界のようでなつかしさを感じてまったく回想法のひと時でした。
ぐうたらは脳によくないと聞いているのにノスタルジーにひたるだけの安易な方向に流れているのは否めません。(汗;)

塚本邦雄
 大和橿原雲梯(うなて)の町に父の墓ありとぞゆきのした散りまがふ
 霜月の木通(あけび)むらさきちちうへに一塊のかなしみをたてまつる

悪質

二週続けてOB会でした。
おのれの脳の訓練訓練と、他の方々に礼を失しつつ参加してきました。
でも相哀れむことのできる「同類」の方々を何人か見つけて、
くわえて新しい知識もいくつか得ることができて精神衛生上も上々の成果でした。

良質の反対語は粗悪だろうと思うのですが、字づらで「悪質」としてしまうと意味が変わってしまうように感じます。でもネットで検索すると反対語は悪質なんですね。きょうは否きょうも良質の反対の写真です。
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HELIOS 85mm

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残り物ではない

きのうは「数で勝負」してきょう2枚の写真にしたからといって昨日よりもマシになったとは思えませんが、
撮りたてホヤホヤということで、「残り物」ではないと胸を張れます。(汗)

去年の11月にも訪れた鈴鹿山脈のふもとのお茶と木地師で知られた「政所」へ行きました。

一年前に撮った写真をもう忘れていて、同じようなものを撮っていないか不安でしたが、
持参したレンズが違っていたので二番煎じは避けることができたようです。
おそろしい記憶力の減退!
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HELIOS 85mm

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数で

残りものは数で勝負ということで、
よくいえば福袋みたいなもの、悪く言うと「闇鍋」です。庭の写真は海住山寺。
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きょうはアルチュール・ランボーの忌日ということで、いつもの塚本邦雄で、
 秋風のすみかの扇 曙は胸をゑぐると言ひしランボォ
 苦蓬酒(アブサン)に焦げしまぼろし秋の地に柩かさなり上なるランボオ
 こよひ巴里に蒼き霜ふり睡らざる惡童ランボーの惡の眼澄めり

秋はたえられず

奈良高畑、志賀直哉旧居のあたりで。
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 人間の臭ひに秋は堪へられず轉々と街をかへて棲むなり  (塚本邦雄)

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それと「頭塔(ずとう)」。
もとは仏舎利を入れる塔ということですから、五重塔と同じインドの「ストゥーパ」を起源にするものなのでしょう。
五重塔よりもより本場のものに近いですね。

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秋こもり

読書の秋つながりで、奈良高畑の志賀直哉旧居。
暗夜行路の執筆をした家だそうです。

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Wikiに書いてあるだけでも、
 1912 尾道(翌年東京に戻る)
 1915 我孫子
 1923 奈良幸町
 1929 奈良高畑(新築)
 1938 高田馬場
 1940 世田谷新町
 1948 熱海
 1954 渋谷区常盤松(新築)
と、落ち着きのない人です。

 星住画伯秋をこもれり罪ありて水晶体赤道をわづらふ  (塚本邦雄)

読書の秋

なお海住山寺。
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海住山寺にふれた白洲正子の本がたしかあったと探したのですが見つからず、
かわりに細江英公の「かまいたち」の本がでてきたのでパラパラめくって見ているうちに、
かれの代表作「薔薇刑」について書かれた文がのっている岡井耀毅「瞬間伝説」まで手を伸ばして、
ついつい読みふけってしまいました。

  「タイトルをどうしましょうか」 (※細江英公)
  「わかったよ」 (※三島由紀夫)
  その翌日、速達でとどいた葉書には、次のどれでもお好きなものをお使い下さい、とあり、
 はがきのスペースの半分ぐらいにびっしりタイトルが列記されていた。
  「受苦のエスキース」「男と薔薇」「悪夢遁走曲」「受難変奏曲」「死と饒舌」・・・そして最後に
 書かれていたのが「薔薇刑」であった。戦慄的な美しい文字だった。とっさに細江英公は
 <これだ!>と思った。

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三島由紀夫の提案のうち何々遁走曲や何々変奏曲では塚本邦雄が出てきそうですし、男と云々ではホモセクシャルな雑誌のタイトルみたいです。聖セバスティアンのイメージで「薔薇刑」と名付けた瞬間に写真は伝説の地位を得たように思えます。

塚本邦雄
 膿盤に霜、はたサン・セバスチャンの腹纒(ま)く甘き縄目を悼み
 酔漢のなみだ玉散る酒場サン・セバスチャンここも明日滅ぶ
 聖書全集どさりとおけば見開きに一縷纏へるサン・セバスティアン

あすは立冬

このごろ春と秋が短くなったように感じるのは何故でしょう。でも、嫌いな月曜日の長さはいまも長いままでちっとも短くなりません。

海住山寺で。
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 立冬のなすこともなきひるさがりひと來てたまひけるあめのうを  (塚本邦雄)

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現身か

きょうはむかしの職場の同僚とOB会でした。
酒は飲めないし人と話をするのも苦手なので宴会も不得手なのですが、脳の老化予防に益があると思って出席しています。

とはいえ、参加者も私とにたりよったりで、
ある人が「妻が認知症対象の介護施設を経営していますが、来年は施設の案内パンフレットを持参します。」と、
うけをねらった挨拶をしたら一瞬の静寂に包まれ、冗談が冗談になりませんでした。

きのうも奈良へ行ってきました。海住山寺(本当は京都府です)と奈良高畑でした。
海住山寺。
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 血と肉と隙間にはかに冱えわたるわがうつそみか紅葉(もみぢ)照りつつ  (塚本邦雄)

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OB会に出れば逢えて嬉しい人も何人かいますし、逆に、こんなわたしでも逢ってよろこんでくれる人が一人二人はいると感じて、幸せな気持ちになりました。

文化の日

きのう細江英公の叙勲の事を書きましたが、ちょっと検索したら、
 2017 H29 細江英公
 2012 H24 富山治夫 
 2012 H24 石元泰博 死後叙勲
 2010 H22 江成常夫 
 1989 H1  三木淳
といった名前が見つかりました。(まだあると思いますが。)

濱谷浩がもらっているかどうか調べているうちに文部選奨を辞退していることがわかったり、
あの土門拳がもらっていたり、
カンボジアの戦場で死んだ沢田教一が死後叙勲されていたりとなかなか面白いと思いました。

それぞれの写真家の写真の価値よりも人物の経歴が大事なんですね。
かつて藤田嗣治が日本を永遠に離れる際に画壇というものを批判して、「絵描きは絵だけ描いて下さい。・・・日本画壇は早く国際水準に到達して下さい」といった当時から何も変わってないと感じます。

大和民俗公園で。
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文化の日の陽は白く照りマラソンの蹌踉ととほざかる靑年  (塚本邦雄)

不祥事

細江英公が叙勲というニュースを知って、
そのうちに篠山紀信ももらうのかな、
尊敬する荒木惟信はもらう前に死にそうだなどと不謹慎なことを考えてました。

細江英公に敬意を払ってモノクロームで。
大和民俗公園と奈良公園。
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きのうは早朝のNHKで三谷幸喜の褒章受章のニュースがとても面白かったので、あとからネットで動画を探しましtが、後半の真面目な部分だけにカットされてました。

「わたし何かわるいことしましたか?」
「このたびはまことにもうしわけございませんでした。」
と直立不動で頭を下げたやりとりが、他の誰にもできない彼らしいリアクションで秀逸でしたが、
残念ながらその映像は見当たりませんでした。

やっぱり色がないと寂しいから一枚足して。

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ほのかに光さして

興福寺で。

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塚本邦雄
 五重の塔のうちら仄かに光さしゐたる記憶とエスカルゴの食(け)

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ここ過ぎて

素晴らしい紅葉写真のブログを拝見しているとこんな写真で自分を慰めているのがかわいそうになりますが、本人はそれなりに自己満足もしているようです。

 黄落(くわうらく)のかつはなやかに萬象はここ過ぎておのれ頼まざらむ  (塚本邦雄)

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ZUIKO 25mm

きょうは朝一番のバスに乗って奈良へ「阿修羅像」に会いに出かけました。(仕事をさぼりました。(汗;))
9時開館を10分前から並んで待って待望の対面がかなって満足でしたが、今回は群像での展示ということで像が少し小さく見えました。表情を見るためにオペラグラスが欲しかった。
阿修羅の正面の顔をみていると私は吉永小百合を思い出してしまいます。むかし彼女もどこかでこの阿修羅像が好きだと言っていたのを記憶しています。(わたしは「隠れサユリスト」です。)
阿修羅像のとなりにはこれも大好きな「五部浄像」が並んでいました。(タルホのような「少年愛」ではありません!)

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