ライトヴァース

塚本邦雄
ヘヴィヴァースの坂井修一霜月の體貌閑麗(たいばうかんれい)にしてわれを見おろす   (不變律)
ライトヴァースは嘉(よみ)せざれども午後二時に靉靆(あいたい)として左眼の霞   ( 〃 )
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

散歩のきまぐれをつづけて。
短歌は季節が合わないのを承知で、ライトとヘヴィーの対比で遊びました。
月火と、ブログ更新を休みます。
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NOKTON 25mm F0.95
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NOKTON 25mm F0.95
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M.ZUIKO 75mm F1.8

 ブログを毎日更新して写真を載せているのは、まだまだわたしは生きているという確認と明日もまた続けていこうという励みとを得ることがひとつ、ブログを訪問していただける、写真を見ていただけることが純粋にうれしくて、ほめられた子供のようにうれしくてというのがふたつてすが、どうしてもつかない都合というのも、いまだに、たまには、あって、明日と明後日の更新を休みます。
 時計じかけという手もあるのですが今回はすなおに二日間お休みすることにします。
 それで明日の分も今日のうちに。
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NOKTON 17.5mm F0.95
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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NOKTON 17.5mm F0.95

思い出でなんすなわち

塚本邦雄
絕海の孤島にあらば思ひ出でなむすなはち岡井隆のほほゑみ   (不變律)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

散歩のきまぐれも載せましょう、残り物も乏しくなったので。
短歌は昨日の話題のつづきということですませて。
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TOKINA Reflex 300mm F6.3
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TOKINA Reflex 300mm F6.3
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TOKINA Reflex 300mm F6.3

 塚本邦雄の書く岡井隆論と、岡井隆の書く塚本邦雄論を読んでいると、息の合った漫才のペアを想像してしまいますが、塚本邦雄が関西弁でサラリーマンで今でいう高卒、岡井隆が東京人で医師で大卒という違いもわたしには気になります。
 せっかく今日は『岡井隆』を読み込んだ歌を引いたので、昨日と同様に、塚本邦雄が評論文の中に引用している岡井隆の歌をあげておこうと思います。
 掌(て)のなかへ降(ふ)る精液の迅きかなアレキサンドリア種の曙に
 原子爐の火ともしごろを魔女のひとり膝に抑へてたのしむわれは
 組織、萌黄(もえぎ)の忠誠をこそ求め來ぬむらさきの苗をわれは捧げむ
 口中に滿ちし乳房もおぼろなる記憶となりて 過ぐれ諫早

口実ひとつ

塚本邦雄
私淑とは師に遠離(とほざか)る口實のひとつ 天邊(てつぺん)に棗熟れをり   (歌人)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

ミーハーとよべばよべなどと開き直るつもりはありませんが、性懲りもなくまた世間様に迎合した写真を。ハッピー・ハロウィーン。
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOKTON 17.5mm F0.95

 きょうの短歌は、歌人で詩人の岡井隆がことしの文化功労者に選ばれたというニュースを聞いたので、彼が盟友の塚本邦雄の死をいたんで新聞各紙に書いた弔文に引用された歌の中から選びました。
 いっぽう、さきに冥界にさった塚本邦雄が書いた岡井隆論に引用された岡井隆の歌からひとつ。
 発ちし夜の妖しきまでの明るさを思えば、戦後こそわがカナンの地

弟よ

塚本邦雄
激怒さはやかなる弟よ百臺のピアノ黑鍵(こくけん)をうちふるはせつ   (靑き菊の主題)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

とうとう種切れになってきたので、いまさら2週間前の残り物。
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

 きょうの短歌は意味も季節も知りませんが、三笠宮様が亡くなったというニュースに接したので引用しました。

 「靑き菊の主題」が九条良経へ塚本邦雄がささげた歌集だとどこかで読みましたので、「弟」は良経の義理の弟で承久の変のあと佐渡へ流される順徳上皇あたりを想像すると、「激怒」という感情も理解できるような気がしますが、「こくけん」は想像の範囲を超えていて何なのかまったくわかりません。「百」は単に激しさを言っているだけだとは思うのですが。
 また、現実には塚本邦雄に弟はいませんしこどもにも弟とよぶ子はいないので、「妹」を恋人の意味で用いるように「弟」は男性の恋人ではないかという想像も働きますが、そうすると急にこの歌が淫靡な色彩をまとってくるように感じます。
 

冷ゆる日々

塚本邦雄
天涯孤獨の天錫色に冷ゆる日々くさぐさの花あればみちのく   (黄金律)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

お散歩。
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TOKINA Reflex 300mm F6.3
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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TOKINA Reflex 300mm F6.3

今朝はカメラをもっていたらきっと途中下車し欠勤したと思うような朝霧でしたが、運悪く手ぶらでした。
否、真面目に出勤したのですから、カメラを持参していなかったのは、運がよかったのかもしれません。

底にうすもみじを秘めて

塚本邦雄
暗綠の底にうすもみぢを祕めて鳥海山に一部の隙   (黄金律)
男泣きに泣いてくれたる杉島も鬼籍に入りき 寒の杉の香   ( 〃 )
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

紅葉を待ちわびて、ご近所で。
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TOKINA Reflex 300mm F6.3
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TOKINA Reflex 300mm F6.3
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TOKINA Reflex 300mm F6.3

 親戚の”おじさん”が急逝しました。わたしの親と同じ世代なので”おじさん”扱いにしていましたが、ほんとうは従兄弟同士です。きょう引用した二首目は季節が合いませんが、お葬式から帰って、日本酒の好きだった”おじさん”を思い出して引用しました。昨夜から今日にかけて一段と冷え込みがつよく、「寒の杉の香」という言葉も似あいだと故人は許してくれそうな気がしました。

ザクロふくみ

塚本邦雄
石榴食ふ犬齒浮くまで讀みさしの「ナナ」が天然痘で死ぬまで   (驟雨修辭学)
石榴ふくみたり 夜の海にイシュメール抱きし赤色土人をねたみ   (綠色研究)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

コスモスを撮りに行ってザクロとススキを撮って帰りました。
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NOKTON 25mm F0.95
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TOKINA Reflex 300mm F6.3

たましいの檻(おり)ありつつ見えぬ

塚本邦雄
わかもののかをり飛び散る秋霰たましひの檻ありつつ見えぬ   (されど遊星)
すなはち霰たばしりにけりマンションのわが箱庭の弓月(ゆづき)が嶽に   (不變律)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

多賀の残りもの。
「弓月(ゆづき)が嶽」が何かを知らずに歌を引用して、あとから調べて万葉集にでてくる大和盆地の山と知りました。(もう何度目かの恥かきです。)
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

ことしも「おわら風の盆}カレンダーをいただきました。
かつて私が大変お世話になったうえに、その後10年以上も送っていただいていて恐縮の極みですが、いまは、新しいカレンダーを楽しみにしてしまっています。ありがとうございました。
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大田舎

塚本邦雄
殘菊に一抹の紅 かたはらにありて觀ることと「傍觀」の差は   (豹變)
麝香葡萄(マスカット)たまはるやその不吉なる重み、東京という大田舎(おほゐなか)   (黄金律)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

ハロウィーンが近いので、去年もつかったかぼちゃを持ち出してご近所のコスモス畑で記念写真を撮りました。(ついでにオリーブも)
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NOKTON 25mm F0.95
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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NOKTON 25mm F0.95
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NOKTON 25mm F0.95

もくせいをとめ

塚本邦雄
木犀少女(もくせいをとめ)うつろふ影は硝子越し古今集戀よみびとしらず   (されど遊星)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

匂いを嗅いだと言ってモクセイの歌ばかり引用していては、写真をのせているブログの名折れと思い、匂いは撮れませんでしたがせめて金の小枝を。
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M.ZUIKO 17mm F1.8
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M.ZUIKO 17mm F1.8

照る月の黄の

塚本邦雄
木犀に冠す蟲干のわが帽子 壮年も叡智にみちてあれ   (日本人靈歌)
照る月の黄のわかものの尿道のカテーテル*** 聖母哀傷曲(スタバト・マーテル)   (綠色研究)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

多賀神社の近くの高源寺で。
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOKTON 17.5mm F0.95

あやしき夜半に

塚本邦雄
シラクサの古き船歌晴夜とふあやしき夜半(よは)におもひいでつ   (豹變)
銀木犀散りはてたれば切にかなしキリ・テ・カナワの金切聲も   (黄金律)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

神あかりの多賀神社。
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NOKTON 17.5mm F0.95
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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NOKTON 25mm F0.95
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

 きょうの「シラクサの・・・・」は、晴夜が聖夜との掛詞のように思うので、季節が合わないのでしょうが、撮影した夜の晴れた月夜を連想して使いました。
 シラクサの船歌というとサンタ・ルチアのような気がしますが、聖ルチア(シラクサのルチア)の祭も12月だそうですから、やっぱり季節は冬なのでしょうか。ルチアは光の意味があるそうで、聖ルチアの祭は「光の祭」だそうです。

ぐみに月光

塚本邦雄
茱萸(ぐみ)に月光 漁夫牧夫ほか十二人耶蘇(イエス)を愛す完膚なきまで   (星餐圖)
銀木犀こぼるるあたり君がゆき彼がゆきわれは行かぬ戰争(いくさ)が   (魔王)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

神あかり実施中の多賀神社。
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NOKTON 25mm F0.95
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NOKTON 17.5mm F0.95
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

 職場まで鈍行しか停まらない駅から、少し前までは農家ばかりだった村落の中を15分ほど歩きます。今日も歩いていると、唐突にキンモクセイの匂いを嗅ぎ思わず香りの元を探しました。先週までまったく出会わなかったのに。

秋澄む

塚本邦雄
眸とぢて今はし聽かむ秋澄むと心ふかく響る一すぢのながれ   (歌誌『紀元』 昭和18年11・12月号)
夕鶫(ゆふつぐみ)歌のもなかに暗紅の核あり言葉そこよりぞ病む   (天變の書)
吾亦紅血のいろすでにうすれつつ露の篠山第七十聯隊   (魔王)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

近江多賀で、たそがれどきの散歩をしました。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOKTON 17.5mm F0.95
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

園のくらやみ

塚本邦雄
綾羅(りようら)はためくごとき良夜ぞ獣園のくらやみにして豹變の豹   (豹變)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

近江多賀神社「神あかり」へ行きました。
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOKTON 17.5mm F0.95

 夜は苦手で、ヘタな分これから進歩できる余地があるなどと強がっていたものの、やっぱり苦手なままです。今回も暗闇でダイヤルが動いたことに気づかず最後まで撮影を続けたり、露出補正を失敗して真っ黒な写真を撮ったりしてしまいました。それでも、落ちることがない分きっといつかはと考えて、自分に残された時間のことを忘れてしまっているのはいいことだと思っています。

夜の明るさにまんばうが

塚本邦雄
沖は十三夜の明るさに翻車魚(まんばう)が生む三億の卵の光   (黄金律)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

一昨日から一変して昨夜はうつくしい月が上っていたのですが帰宅が遅れて撮りそこねたので性懲りもなく。
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOKTON 17.5mm F0.95

日日わがうちに

塚本邦雄
寝臺の紺の夕映、ランボオが日日わがうちに死する火の刻   (水銀傳説)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

株杉の森で。
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NOKTON 17.5mm F0.95
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SUMMILUX 15mm F1.7
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NOKTON 17.5mm F0.95
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M.ZUIKO 75mm F1.8

つづけつつ

塚本邦雄
ちよろづの言靈(ことだま)殺しつづけつつ歌人たり 神無月の初霜   (詩魂玲瓏)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

似たり寄ったりが恥ずかしいモネの池をなお。
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOKTON 17.5mm F0.95

 新聞の読者投稿欄のテレビ・レビューに「死んだ男の残したものは」という音楽に感動した話がのってました。
 武満徹作曲、谷川俊太郎作詞だそうです。

 一 死んだ男の残したものは ひとりの妻とひとりの子ども
   他には何も残さなかった 墓石ひとつ残さなかった
 二 死んだ女の残したものは しおれた花とひとりの子ども
   他には何も残さなかった 着もの一枚残さなかった
 三 死んだ子どもの残したものは ねじれた脚と乾いた涙
   他には何も残さなかった 思い出ひとつ残さなかった
 四 死んだ兵士の残したものは こわれた銃とゆがんだ地球
   他には何も残せなかった 平和ひとつ残せなかった
 五 死んだかれらの残したものは 生きてる私生きてるあなた
   他には誰も残っていない 他には誰も残っていない
 六 死んだ歴史の残したものは 輝く今日とまた来る明日
   他には何も残っていない 他には何も残っていない

 ネットで検索して様々な人が歌う「死んだ男の残したものは」を聞きながら、自分の青春時代を思い出していたら、ニュースがボブ・デュランのノーベル賞受賞を報道していました。さきほどまで思い出していたわたしの青春時代に、これで新しいモノサシが与えられたと感じました。

身をまもるための

塚本邦雄
身をまもるための黙(もだ)のみ干柹の種子透明の果肉をまとふ   (装飾樂句)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

岐阜県関市板取「モネの池」をもう少し。
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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NOKTON 17.5mm F0.95
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M.ZUIKO 75mm F1.8

 一枚目の撮影にPLフィルターを使いました。(二枚目は使っていません)
 もう50年も前オリンパスペンFを持ったときに、最初に買ったのがPLフィルターと「アタッチメント・レンズ」(フィルター枠に凸レンズをはめたいわゆるクローズアップレンズ)でした。高校生のお小遣いで手の出るアクセサリーはこれぐらいでしたが、見たとおりに撮ることができる一眼レフに新鮮な驚きを感じました。
 PLフィルターで水面の反射の状態を変えた写真を並べてみます。

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NOKTON 17.5mm F0.95

両手まかれしわれ

塚本邦雄
月光の市電軋(きし)みて吊革(つりかは)に両手纏(ま)かれしわれの磔刑(はりつけ)   (日本人靈歌)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

岐阜県関市板取の21世紀の森で「株杉」。
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NOKTON 17.5mm F0.95
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SUMMILUX 15mm F1.7
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M.ZUIKO 75mm F1.8

株杉の樹齢は500年以上だそうです。異形の姿に霊的なものを感じて、カメラをを向けることが畏れおおいことのような気がしてきました。写真がお粗末なのはそのせいです。けっして私の腕のせいではありません。(笑)

淡々と

塚本邦雄
これよりわが生の跋文水中にぬばたまの鯉淡々とある   (波瀾)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

岐阜県関市板取で、「モネの池」というところだそうです。
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NOKTON 17.5mm F0.95
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8

神無月かけくだる齢

塚本邦雄
翡翠(かはせみ)を鳥獣店に見たりけり神無月駈けくだるよはひか   (黄金律)
人生の生は生(なま)なる日々はいざ聽かむ秋風の末期(まつご)のこゑ   ( 〃 )
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

西大寺。
ことほぐならは、塔の跡地にアイシャ・エルクメン「池からプールから池へ」なんだそうですが、プールを2枚だけ。
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

年賀状の準備を始める時期になりました。
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なら町で手に入れた小さなトリの起上がりこぼしで試し撮りしてみましたが、
年賀状の画像としては、もうすこし工夫してみようと思います。

あゆみ来てつかれ

塚本邦雄
砂地あゆみ來てつかれをり考古学館の土器みなどこか欠けゐる   (装飾樂句)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

なおなおなお。古都祝奈良の今西家書院で柴舟「言ノ葉は、光と影を抱く」。
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NOKTON 17.5mm F0.95

言葉は稀に

塚本邦雄
肉ははかなき潮(うしほ)のかをりわが秋の言葉は稀にマラルメを訪ふ   (されど遊星)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

なおなお。なら町の鎮宅霊符(ちんたくれいふ)神社の西尾美也「ボタン/雨」と大国主命神社の黒田大祐「地風」。
”ボタン”は昨日の記事のパッチワークをつくったときに古着からとりはずしたものだそうです。
”風”は、なん台もの扇風機が風を起こし、人々の会話する声がテープから流れていました。
鎮宅霊符神社は陰陽師に守られきた神社、大国主命神社内の建物は小学校の前身として使われていたらいいです。
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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Zuiko ED 8mm F3.5 Fisheye

罰くだるべし

塚本邦雄
おもむろに罰くだるべし男湯に夕星(ゆふづつ)のごときあぶらうかびて   (感幻樂)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

なお。なら町らしい格子戸の奥につづく路地の奥に西尾美也「人間の家」。
付近の人々が出し合った布切りでつくったパッチワークの”家”だそうです。
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Zuiko ED 8mm F3.5 Fisheye
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Zuiko ED 8mm F3.5 Fisheye

愚かなりしきのふのわれ

塚本邦雄
愚かなりしきのふのわれを言はざれば皎(かう)とし荒るる花薄原   (透明文法)
ゆふづつのしろがねの匙水上の霧にまぎらふ愁ひいささか   (花にめざめよ)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

古都祝奈良(ことほぐなら)の元興寺で、キムスージャ作「演繹的なもの」。
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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Zuiko ED 8mm F3.5 Fisheye
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOKTON 17.5mm F0.95

ゆうづつは夕星で宵の明星だそうです。
枕草子に、
 星は昴(すばる)。牽牛星(ひこぼし)。太白星(ゆふづつ)。よばひ星、すこしをかし
とあるそうですから、昔むかし、学校で習ったはずですが、全く記憶にございません。
いえ、ほんとうに覚えてないのです。うそは申しません。

つゆしらぬ間に

塚本邦雄
つゆしらぬ間に露しとどあからひく露國がずたずたの神無月   (魔王)
茶房「ポチョムキン」裏口に憲兵のひまごとかいふ牛乳屋さん   ( 〃 )
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

なお古都祝奈良(ことほぐなら)。なら町の1917年築の商家で、林和音「FLOW(hayashi)」。
1917年はロシア十月革命でソヴィエト政権が樹立した年だそうです。
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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Zuiko ED 8mm F3.5 Fisheye
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NOKTON 17.5mm F0.95
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

ほのかにまどろみ

塚本邦雄
耳掻きの羽毛ほのかに神無月(かみなづき)まどろみてかなしみを喪ふ   (されど遊星)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

古都祝奈良(ことほぐなら)で、田中望「かがり火の蔵」へ。
もと米問屋の蔵の中に、
鳥獣戯画のような絵が描かれた蚊帳と囲炉裏のようにライトアップされた”奈良晒”でつくられた作品がありました。
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Zuiko ED 8mm F3.5 Fisheye
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Zuiko ED 8mm F3.5 Fisheye
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOKTON 17.5mm F0.95

ウサギはこちらを見ずに、町並みの向こうにそびえる五重塔を見ていました。
その景色の先にかがやく”晒”の「山脈」が見えます。
サマルカンドへ向かう玄奘三蔵が歩いている天山山脈のように感じました。そのあたりを彼らは歩いているはずです。
汗をハンカチで拭きつつカメラバッグを下げて写真を撮ってるわたしは、猪八戒になってお師匠様のよこを歩いてました。
蔵から出てお座敷でひと休みしました。蚊取線香の煙が流れてきて、その煙を見ていると再び夢を見てしまいそうでした、

志なし

塚本邦雄
志あらねば夜半家出でてをりからの秋風を呑みくだす   (黄金律)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

古都祝奈良(ことほぐなら)。
なら町の染物屋跡を今日もつづけます。作家は宮永愛子、「雫 -story of the droplets」という題だそうです。
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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NOKTON 17.5mm F0.95
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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NOKTON 17.5mm F0.95

 未開封のまま倉庫に残されていたガラス瓶を真ん中にすえて、天井に倉庫の床土を拓本した布をつりさげているそうです。
床土には、長年にわたって染物が干されたとき、滴り落ちた染料が、染み込んでいたそうです。

 壜の中の液体は今も澄み切っていて、
彼は、置き忘れられていく間に、床土の色に自分も染まってしまうと怖れていたでしょう。
土に染み込んだ色を白い布に写しとってみれば、彼が怖れたような色でなかったのですが、
その色を見上げつつ、それでも土の上に直接置かれることは願い下げと言いたげでした。

神無月と思うたまゆら  ~古都祝奈良で

塚本邦雄
烏瓜こほるくれなゐレオナルド・ダ・ヴィンチと道一つたがへて   (されど遊星)
神無月(かみなづき)と思ふたまゆら尼僧らのそのうつしみぞ崩るる眞珠   (陽帝領)
(塚本邦雄の短歌は写真と無関係です。塚本邦雄を尊敬していますが、引用した歌はブログの護符かお守りのつもりです。)

開催中の現代芸術祭『古都祝奈良(ことほぐなら)』へ。
えっもう10月と驚いたのがわたしだけでありませんように、とお祈りもしてきました。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2 西大寺
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Zuiko ED 8mm F3.5 Fisheye 南円堂
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Zuiko ED 8mm F3.5 Fisheye なら町の染物屋あと
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Zuiko ED 8mm F3.5 Fisheye なら町の染物屋あと

帰る途中で予定していて行くのを忘れた場所があることを思い出しました。
さらに、帰ってから撮った写真に見落としたアングルがあることに気がつきました。
年齢のせいにはしたくない、けっして歳のせいではない、と思いつつ
ため息をついてしまいます。