たのしみあらむ

塚本邦雄
紫陽花のかなたなる血の調理臺こよひ食人のたのしみあらむ   (綠色研究)

まだあすなろう鉄道沿線で。
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NOKTON 17.5mm F0.95
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TOKINA Reflex 300mm F6.3
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NOKTON 17.5mm F0.95
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TOKINA Reflex 300mm F6.3
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TOKINA Reflex 300mm F6.3

6×6判の75mmf2.8が好きと先日書きましたが、実際に撮った写真は多くありません。
ブローニー・フィルムのカーリング(巻き癖)をおそれて、当時は、
なるべく絞って、かつ撮影直前に巻き上げるようにしていたからです。
f2.8で撮るときは、ピントが来てますようにと祈りつつシャッターを切りました。

夏をはらむと

塚本邦雄
不幸なる夏をはらむと濃紺の朝顔がバルコンをはひまはるし   (詩歌變)
水煮つつ半身おぼろなる母よ夏よ青銅時代は過ぎし   (感幻樂)

きのうにつづき四日市あすなろう鉄道沿線界隈。
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TOKINA Reflex 300mm F6.3
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOKTON 17.5mm F0.95

瞳澄むまで

塚本邦雄
にくしみに瞳澄むまで少年の夏群靑(ぐんじやう)にきはまらむとす   (摩多羅調)
音樂は夏あけぼのの空わたりなんぢ閉じたる花園(くわゑん)のごとし   (新月祭)

四日市あすなろう鉄道沿線界隈。
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOKTON 17.5mm F0.95

今回は昨日入手したノクトン17.5mmのテスト撮影もかねていました。
発色が濁るような気がしますが、経済的にいくつかのレンズを使い分けられないアマチュアとしてはこれで十分かな。
学生時代のハーフ判オリンパスペンFから就職後はマミヤプロフェッショナルの6×6判に一挙に移行したので、35mm判の経験がほとんどありません。
長く使った6×6判で、75mmf2.8開放の空気感が好きなのですが、いまの手持ちのm4/3システムでは、ノクトン25mmf0.95がそれに近い結果を出してくれるように感じます。
ただ、35mmフルサイズで50mmの焦点距離はちょっと長すぎて、画角的にはもう少し広いものが欲しかったのです。
今回のノクトン17.5mmではやや広すぎますが、50mmの窮屈さからは解放されました。
昨日は、被写体までの距離とバックのボケ具合を確かめるテスト撮影を繰り返してきました。

ひとつまみの塩ほどの

塚本邦雄
ほとほとに凌霄花(のうぜんかづら)萌えをはるひとつまみの鹽(しほ)ほどの愛がほし   (花にめざめよ)
刃物積む貨車、嬰兒とわれの寢臺車相聞のごとならびすすめり   (綠色研究)

四日市あすなろう鉄道日永駅界隈。
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NOKTON 17.5mm F0.95
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NOKTON 17.5mm F0.95
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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TOKINA Reflex 300mm F6.3
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

いまだ朽ちざる

塚本邦雄
こころざしいまだ朽ちざる頽齢のすさまじ 二十日越しの空梅雨(からつゆ)   (波瀾)

きょうは地元のローカル線の駅で。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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NOKTON 17.5mm F0.95

四日市あすなろう鉄道赤堀駅という、全国に三か所だけ残っている762mm、2フィート6インチ軌間のナローゲージ路線だそうですが、私には関心がないので、列車や線路は写っていません。

ことごとく忘れて

塚本邦雄
英靈・英國・叡慮・營倉、悉く忘れて營業報告書を書け   (風雅黙示録)
いつまで大東亜戰爭!朴の花泥濘(ぬかるみ)に堕ち泥と化(な)るまで   (汨羅變)

なおえん体壕。
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

旧北伊勢陸軍飛行場掩体(きゅうきたいせりくぐんひこうじょうえんたい)
という名称で登録有形文化財に指定されているそうで、ブロンズの銘板が貼られていました。
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NOKTON 25mm F0.95
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

藍うるみ

塚本邦雄
忠魂碑建てむとするか毀(こぼ)てるか曇天の底藍うるみつつ   (黄金律)

かの戦争にえん体として建てられたコンクリート壕を、農家のご了解を得て撮ってきました。
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Zuiko ED 8mm F3.5 Fisheye
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NOKTON 25mm F0.95
3LR6-_R664981-1.jpg
KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

心の飢え

塚本邦雄
朱(あけ)いささか濁りし百合の花にむき鋭かりきわが心の飢ゑ   (透明文法)

上(かむら)残りものから花を選んで。
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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M.ZUIKO 17mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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M.ZUIKO 75mm F1.8

夏を病む

塚本邦雄
詩歌など言葉の微熱わかものは嚠喨として夏を病むべし   (されど遊星)

戦争遺産。昔の鈴鹿海軍工廠着弾場跡だそうです。
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

夏もまぼろし

塚本邦雄
肉屋はさくら色の肉吊りヴエルレーヌ蹴りて愛せし夏もまぼろし   (水銀傳説)

彦根の残り物で0
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
1LR6-_N661014-2 (2)
NOCTICRON 42.5mm F1.2

水無月の

塚本邦雄
アポリネール詩集『アルコール』の誤訳見出づ靑水無月の歡び   (風雅)

仕事の合間を盗んだ写真の残り物ということで、ひきつづきお茶をにごします。
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ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD
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ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD
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ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD

先日17日の塚本邦雄『愛すると二度と言はねば口中に齒刷子の靑鬚が逆立つ』を
男が「愛する」などと口にするのは結婚式のときぐらいで、二度と言わないうちに妻も夫に無関心になって、歯ブラシが使い古されていても気がつかない、という日常風景では「感幻樂」らしくないと感じます。
かといって、国を愛するなどと二度と言わないと始めてしまうと、「日本人霊歌」あたりならまだしもやはり「感幻樂」には置けないと感じます。
青ひげといえば新妻を次々に殺す青ひげ公の話を思い出します。
結婚してすぐ殺すのですから、愛すると二度と言わないわけで、おとぎ話のほうよりも、
殺した花嫁にそれぞれ美の要素を振り分けて自己の所有物にしていくオペラ作品の設定の方が合いそうな気がしますが、
塚本邦雄ですので映画作品を土台にしているのかもしれません。
オペラの前口上で、「この物語は、瞼で分けられた内と外、自分と他人との関わり、我々の人生についての話」
などと言われるとますます作者好みのように感じられます。

何せむ

塚本邦雄
ゆきのしたの群落足に薙ぎはらひ歌が何せむうたがなにせむ   (不變律)

彦根の残り物ということでお茶をにごします。
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NOKTON 25mm F0.95
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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Zuiko ED 8mm F3.5 Fisheye

少年のごと

塚本邦雄
ル・コルビュジュの建築學に殉じたる少年よ鉛筆のごとく痩せつつ   (装飾樂句)
昇降機内に柑橘(かんきつ)香る籠ささげ少年のごと耳熱し   ( 〃 )

仕事の合間を盗んで。
久しぶりにズームレンズをつかいました。
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ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD
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ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD
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ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD

きょうの塚本邦雄は、ひと月ほど前に「ル・コルビュジエ作品が世界文化遺産登録」
というニュースがあったことを、何故かふっと思い出して。
かれの歌では少年はいつもイノセンスだけれど、
わたしだって何かのきっかけがあれば耳まで真っ赤になって、
一瞬、少年にもどることができるのでしょうか。

二度と言はねば

塚本邦雄
愛すると二度と言はねば口中に齒刷子の靑鬚が逆立つ   (感幻樂)
仇敵のあはれ一人は母にして六月の蕗枯れつつ立てり   (閑雅空間)

彦根城址で。
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NOKTON 25mm F0.95
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NOKTON 25mm F0.95
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NOKTON 25mm F0.95
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NOKTON 25mm F0.95

てのひらのすぢみだる

塚本邦雄
霖雨(つゆ)ふけて靑葉のいよよ昏ければわがてのひらのすぢみだるる   (透明文法)

まだ善利組足軽屋敷界隈。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

うつろふ方に

塚本邦雄
萬綠のつゆ光る野にめざめたり翅(はね)濡れて透くわれのそびらよ   (透明文法)
朱雲(あけぐも)のうつろふ方に逐はるると汝ひとり萬綠の野に佇(た)たしめし   ( 〃 )

なお善利(せり)組足軽屋敷界隈。
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
3LR6-_N661082-2.jpg
NOKTON 25mm F0.95
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOKTON 25mm F0.95

わたしは不審者ではありません。
ただ隙間が好きで、すきまがあると覗かずにはおれないのです。
狭いところから覗きたいって、わたしだけの性癖ではないと思うのですが。

濃淡あげつらい

塚本邦雄
たかがイクラの酢の濃淡をあげつらひさみだれまへにみだるる家族   (波瀾)
荒梅雨の底にただゆふわが言葉神いづこにかしはぶきたまふ   (海の孔雀)

彦根善利(せり)組足軽屋敷界隈。
道路が狭隘なので、
火事に非常に神経をつかっている様子がうかがえました。
家々の玄関わきに必ず水の入ったバケツがありました。
この地域が今日まで残っているということは、今日まで大きな火事がなかったということでしょうから、
ここに住んでいる方々の気づかいは大変なものと思いました。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

 今日の『荒梅雨の底にただゆふわが言葉神いづこにかしはぶきたまふ』は、
永島靖子氏(俳人)の評論から孫引きさせていただきました。
 そこでは、彼女がこの歌に出会ったときの鮮烈な思い出が紹介されたあと、
「危うくも「わが神、なんぞ我を見棄て給ひし」を連想させる歌人の叫びを感受する。・・・」
と。
そうは聞いても、
ぼんやり情緒的な理解におわるのは、わたしの知能が足りない証拠。なぜなら、
今日の一首目が、どうしてもサザエさん一家の歌に思えてしかたない。

真昼間のまさゆめ

塚本邦雄
昨夜(よべ)の夢こよひのうつつ分きがたくあやしきは眞晝間のまさゆめ   (源氏五十四帖題詠「総角」)

城下町彦根の善利(せり)組足軽屋敷の界隈で。
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

彦根には六つの足軽屋敷があったそうで、善利組はその中で最大の700戸もあったようですが、
今日でも30戸あまりが残っているのだそうです。
足軽といっても一戸は50~60坪の敷地で門構えを有していたということで、
屋敷の間を走る道が幅1.8~2.5メートルしかないことや、
「どんつき」(行き止まり)や「くいちがい」(左右や上下の道路が直交しない)が、
昔をしのばせていると感じました。

時閒という沼

塚本邦雄
時閒てふ沼のさざなみ靑年は戀のはじめにして老い兆す   (されど遊星)

今日は彦根へ。
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NOKTON 25mm F0.95
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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TOKINA Reflex 300mm F6.3

一枚目は彦根城址で、
二枚目は芹川河岸で、
三枚目は善利(せり)組足軽組屋敷の一角で、
四枚目は城から望んだ琵琶湖です。写っている島は多景島というそうです。

今日の塚本邦雄の歌、
『時閒てふ沼のさざなみ靑年は戀のはじめにして老い兆す』を、
 青年も恋に落ちると、躊躇したり疑心に惑わされたり、若者らしい決断力が鈍り思い切りが悪くなって、老人のようになってしまう。こうして時間の波がわずかずつ進んで老いていくのだ。
と読むと、彼らしくもなく、当たり前の常識的な話でしかありません。
言葉を裏返しにして、
 老人は恋の終わりに若返る。時間のさざ波はこちらへ進んでいるように見えて実は向こうへ戻っていく。時間の沼は時間の波に満たされ、そこに浮かぶ船は前へも進まず後ろへも戻らず、青年は老い、老人は若返る。
と読んでみたいのは、私の年齢のせいでしょうか。

時の記念日刻光り

塚本邦雄
時の記念日刻光りつついつの日も屍體置場(モルグ)に耳慧き屍體あれ   (水銀傳説)

明日香村 八釣 (やつり)。
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8

いささ葉隠れ

塚本邦雄
新しき帽子の翳にけふの日のやつれは秘めてわが巷ゆく   (歌誌『オレンヂ』1947 1月 2号)
河骨(かうほね)はまひるのやみにともりけりいささ葉隠れをとこはをとこ   (靑き菊の主題)

談山神社の残り物でお茶を濁すことに。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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M.ZUIKO 17mm F1.8
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M.ZUIKO 17mm F1.8
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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SUMMILUX 15mm F1.7

夏のかなしみの一つ

塚本邦雄
木星荘百階に來よ千メートル下に世界の亡ぶるが見ゆ   (魔王)
夏のかなしみの一つぞ蚊絣の千匹のこゑなき和讃   (不變律)

そろそろ上(かむら)の残り物で。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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TOKINA Reflex 300mm F6.3

ちちはははいさ

塚本邦雄
かはたれの桐はうすずみ莫逆(ばくぎやく)の友と戀びとちちはははいさ   (花にめざめよ)
鬱鬱と夏のわかもの蛇皮のベルトを蛇のながさに斷ちて   (感幻樂)

なお明日香村上(かむら)。
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 17mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8

かくもかがやき

塚本邦雄
壯年のかくもかがやき水無月に「獨(ひとり)」てふけだものを飼ひをる   (波瀾)

上 (かむら) という集落。
奈良県高市郡明日香村上。
談山神社から明日香村へいく途中の棚田の美しいところでした。
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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TOKINA Reflex 300mm F6.3
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 17mm F1.8

睡りうるうる

塚本邦雄
蜜月の睡りうるうる簡単な算術もわからなくなる草いきれ   (同人誌『くれなゐ』1948 8月)
掌にどろりとくわをすくへり死ぬことは生きることよりなほくだらなき   ( 々 1948 6月)

なお談山神社。
談山神社では現在、秘仏「談峯如意輪観音像」が公開中ですが、
めずらしく写真撮影可能でした。(三脚等は不可)
神社に観音はイレギュラーですが、
もともと藤原鎌足の墓所としていとなまれた寺院が明治に神社となったため、
寺院(妙楽寺)の時代の方が長いというお話でした。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

ふと恋し

塚本邦雄
掟あまたありける舊き惡しき世がふと戀し 額の花鉛色   (獻身)

きょうは多武峰「談山神社」で。
あじさいにはまだ少し早すぎたようでした。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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M.ZUIKO 17mm F1.8
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

無尽に

塚本邦雄
金雀枝縦横無盡に吹かれ西行が持ちかへりける砂金三萬兩   (不變律)

きのうにひき続き、亀山市楠平尾の「ささゆり」で。
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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SUMMILUX 15mm F1.7
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M.ZUIKO 75mm F1.8

カシアス・クレイ、モハメド・アリの死亡をニュースが報じています。
一週間前の5月29日の塚本邦雄の歌について書きます。
『山巓にすれちがひたる黑人の美髯(びぜん)おそるべき夏がはじまる』の
「山巓」は「さんてん」と読んで山頂をあらわすことは、この歌を引用して初めて知りました。
歌人というのは難しい言葉を使うものだなあと驚き、
「さんてん」「こくじん」「びぜん」とン音の連続にこだわる美意識にも驚きます。
ある解説に、
西東三鬼『おそるべき君等の乳房夏来る』を下敷きにしている、
とありました。なるほど納得しつつ、しかし、「黒人の美髯」という設定には説明がありませんでした。
これが山男の美髯とか白人の美髯なら分かるような気がするのですが、
黒い皮膚に黒い髯ではほとんど目立たない。
西東三鬼が「おそろしい乳房」というのを踏まえれば、
塚本邦雄も「おそろしい夏」ではなくて、「おそろしい美髯」ではないか。
しかも、乳房が遠目でも目立つのに、美髯はすれちがう瞬間に目に入ってくる。
すぐ近くに来て初めて気がついた黒人の美しい髯のように、夏がすぐ近くにあった
というようなイメージではないかと思うのです。

六月の蒼

塚本邦雄
六月の蒼き雁來紅(かまつか)十四本歌はむにはや歌ぞ亡びし   (天變の書)

ご近所の山林に咲くささゆりを撮りに行きました。
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SUMMILUX 15mm F1.7
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SUMMILUX 15mm F1.7
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M.ZUIKO 75mm F1.8

きのうの塚本邦雄『子を生(な)しし非業のはての夕映えに草食獸の父の齒白き』について、
彼の歌の著名な研究者である文学博士は、
「本心はどうあれ、歌人・塚本邦雄は、子を作るのは運が悪い(非業)と吐き捨てる」、
「非業の死という言葉を逆転させて、・・・生きることは非業だと言っている」、
「草食獣の父の歯白きの裏側には、肉食獣の母の歯赤きという表現が貼り付けてある」
云々と解説しています。
なるほどなあと解説を読みつつ、そんなに重い内容だろうかとも感じます。
「子を生む」のは母親です。父親は何もしていないという意味を「非業」という言葉に込めただけではないかと感じるのです。
何も働いていない父親は、出血もせず、喜びに笑っているだけです。
さらに加えれば、業と同じ音の行に置き換えれば、子をなしたのは非行のはてです。
そんな妄想をふらませていました。

草食獸の

塚本邦雄
子を生(な)しし非業のはての夕映えに草食獸の父の齒白き   (感幻樂)

なお揚輝荘の残り物。
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

きのうの塚本邦雄『男と神を夜にはなちて女らのたましひはひるがへる白絹』は、
男、神、夜、女、白絹とイメージは奔放ですが、
わたしの尊敬する人の著書には、この歌を解説して、
「女とは、ゲルマン神話のワルキューレをイメージしているのだろう。・・・・・ワルキューレは、美しい戦いの乙女たちであり、戦死者を神々の都へ運ぶ役割を果たす。天馬に乗ったり、白鳥に姿を変えたりして、空を飛んでおると考えられた。・・・」
とありました。
たしかに「緑色研究」では作者本人が、ワーグナーにからんだ歌だと言っているのですが、
時をさかのぼった「青樫」では『L氏』だけにからんでいて、しかも『国王L』ではなく『L氏』です。
また、「青樫」のほうの歌にはキリスト教のイメージが濃厚です。
両者の二十行詩には、似た歌やまったく同じ歌が含まれていますが、
つくろうとしている空間はまったく違うのだと、ようやく気付きました。

つみふかき

塚本邦雄
男と神を夜にはなちて女らのたましひはひるがへる白絹   (綠色研究(国王Lと哲学者Nによせる脚韻二十行詩より))
たたかひは昨日をはりて皇帝のつみふかきむねおほふしら絹   (歌誌『靑樫』四号 L氏のための二十行詩)

そろそろ写真が尽いてきて、揚輝荘の残り物で。
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