退屈のきわみ ~2016年5月分のカレンダー

塚本邦雄
正述心緒の心緒疾風(はやて)になびきつつ時ありて雪のかをりの六腑   (黄金律)
正述心緒蔑(なみ)するこころなきにしもあらず氣違ひ日和の霰   ( 〃 )
ルイ・アラゴン誕生日とて退屈のきはみ くれなゐの霜は降らぬか   ( 〃 )

来年五月のカレンダーを。
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またまた恥ずかしながら「正述心緒」を知らず、”コトバンク”で検索しました。『・・・万葉集の相聞歌を分類した名称の一つ。正述心緒歌(ただにおもいをのぶるうた)(心に思うことを直接表現する),・・・』とありました(一部抜粋)。
お経の一種かと思ってました。ああ、恥ずかしい。

空耳にふと

塚本邦雄
飢ゑすなはち魂にしひびくことわりや枇杷散りてさむき膝をそろへぬ   (透明文法)
男聲合唱(オルフエオン)ゆゑならねど空耳にふとまがまがしマルセイエーズ   (不變律)
無月の空かすかに光り靑年とわがあらそふはピンダロス論   (閑雅空間)

彦根で。
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8

はずかしいことに、ピンダロスの名前は聞いたことがあっても中身を知らず、Wikipediaで検索しました。「戦いは知らざる人には甘美なれど、知る人はその近づくをあまりにも怖れる」と歌ったとありました。

冷やかな言葉

塚本邦雄
ありもしないあしたが見えながら言葉の凍りつくテラス   (ソネット詩集「樹映交感」より)
弱者を鞭打つ冷やかな言葉のまかりとほるのが神の國   ( 〃 )

近江永源寺で。夜は苦手ですが。
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SUMMILUX 15mm F1.7
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SUMMILUX 15mm F1.7
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SUMMILUX 15mm F1.7
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SUMMILUX 15mm F1.7
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

一日の果てに ~2016年4月分のカレンダー

塚本邦雄
人參嚙みて子にふくまするうら若き母よそのわざはひ充つる口   (水銀傳説)
孤りの刻一日果てにありて視るボッシュの繪、人間を彈ける竪琴   (日本人靈歌)

来年四月のカレンダーと、こっそり自分を励ますプレゼント。
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だれもくれないから、自分から自分へ、自分を応援するプレゼント。
羽田美智子さんが出ているEテレ『石川九楊の臨書入門』最終回で、宮澤賢治「雨ニモマケズ」の手帳のレプリカが出てきました。
欲しい! と思ってさっそく花巻市「林風舎」の「雨ニモマケズ手帳」を買いました。
テレビに出ていたレプリカには及ばなくても、わたしの所有欲を十分に満たしてくれました。
うれしいので、さっそく記念撮影しました。
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透きとおりつつあれば ~ユネスコ無形遺産の美濃和紙

塚本邦雄
父とわが歩調齟齬してそのままに寒の夢前川(ゆめさきがは)かちわたる   (歌人)
墓碑に今、花環はすがれ戰ひをにくみゐしことばすべて微けく   (水葬物語)
「佛陀」てふ濁音にがし白粥に肝(かん)・腎(じん)透きとほりつつあれば   (豹變)

美濃市蕨生の美濃和紙。
澤村さんという方のおうちで撮影させていただきました。ありがとうございました。
美濃和紙の実物を伝統的手法でつくっている現場で見て、ちょっと興奮。
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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M.ZUIKO 17mm F1.8

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M.ZUIKO 17mm F1.8
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M.ZUIKO 17mm F1.8
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

永久に愛し ~2016年3月分のカレンダー

塚本邦雄
アッシェンバッハわがうちに生き寒雷ののちの欄干(てすり)のかがやくテラス   (日本人靈歌)
結婚衣裳刻刻錫色に映えて彼女ら永久(とは)に愛しあふ罰   ( 〃 )
紅葉(こうえふ)のこころ暗きに縛されて晒井(さらしゐ)に降りゆく若者は   ( 〃 )

来年三月のカレンダー。

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ときすでに過ぎ

塚本邦雄
黄落ののちの紅落うつそみの黑落の季(とき)すでに過ぎつつ   (黄金律)
われ死して三世紀後の獸園に象はくれなゐ蠍はみどり   ( 〃 )
「眠れる森の美女」突然に目を覺ましそこに灼けただれたる歐洲   ( 〃 )

なお美濃市。
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M.ZUIKO 17mm F1.8
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M.ZUIKO 17mm F1.8
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M.ZUIKO 17mm F1.8

未来へ

塚本邦雄
かへりこぬ牡の鵞鳥をにくみゐし少女も母となり森は冬   (水葬物語)
マリオネットの絲斷れてをり。暗幕の隙閒には瞳(め)と花束の渦   ( 〃 )
古き砂時計の砂は 祕かなる濕(しめ)り保(も)ちつつ落つる 未来へ   ( 〃 )

なおなお美濃市。
きょうは動物系。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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M.ZUIKO 17mm F1.8
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

林のかげで説く微分積分

塚本邦雄
シャンパンの壜の林のかげで説く微分積分的貯蓄學   (水葬物語)
ここに男死す幕閒(まくあひ)の花束を奈落にはこびはこびつかれて   (透明文法)

湯ノ洞水道橋。単純にレンガが好きです。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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SUMMILUX 15mm F1.7
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TOKINA Reflex 300mm F6.3

光るひそやかに

塚本邦雄
傷つきし牡蠣薄光るひそやかに武器積みて發(た)つ船の底にて   (装飾樂句)
赤き菊の荷夜明けの市(いち)にほどかるる今、死に瀕しゐむハンガリア   (日本人靈歌)
放浪のわれらの胃の腑冱えつつぞ視る巴里に集(よ)る詩の蚜蟲(ありまき)ら   (水銀傳説)

きょうは岐阜県美濃市で。
レンズをとっかえひっかえして撮ってしまった、と後で反省しきり。
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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SUMMILUX 15mm F1.7
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

未生以前 ~来年の2月分のカレンダー

塚本邦雄
かなしみのすゑに澄みゆくいのちぞと霧冷ゆる夜夜の菊にむかへり   (透明文法)
未生以前の潮の香ぞする惠曇(ゑとも)よりおくりきたりしうるめ百匹   (不變律)
誘亂船などと言はずに宍道湖の夕映を酌みに往かうよ、吾妹   (詩魂玲瓏)

ことしの二月に撮った写真をつかって来年二月のカレンダー。
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聖・銃器店

塚本邦雄
褐色の獵銃あをき拳銃とあひ觸れて夜の聖・銃器店   (感幻樂)

たった一本の黄葉にレンズを三本も使って優柔不断というべきでしょうか。
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NOKTON 25mm F0.95
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SUMMILUX 15mm F1.7
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

生けるバルバラ

ふたたび、塚本邦雄『日本人靈歌』最終章「死せるバルバラ」より
孵卵器のごとき市電が雨中過ぎ 死せるバルバラ・生けるバルバラ   (日本人靈歌)
聖母哀傷(スタバト・マーテル)の底にふと黙(もだ)せりわれの首枷(くびかせ)のふち鋭き襟布(カラー)   ( 〃 )

滋賀県大津市葛川梅ノ木のあたり。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

一塊のかなしみを

塚本邦雄
霜月の木通(あけび)むらさきちちうへに一塊のかなしみをたてまつる   (不變律)
夜のつぎにくるはまた夜かなしげな魚の眼の中に燈ともせ   (水葬物語)
屋上にある日瞰(み)し街雪降りて無數に蝶の墓ならびゐむ   (透明文法)

叡山電鉄「二ノ瀬」駅とその付近で。
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NOKTON 25mm F0.95
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TOKINA Reflex 300mm F6.3
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TOKINA Reflex 300mm F6.3

死せるバルバラ

塚本邦雄の『日本人靈歌』中、最終章「死せるバルバラ」より
冬苺積みたる貨車は遠ざかり<Oh! Barbara quelle connerie guerre>
みつめつつわがこころ羞(やさ)しも晩年のルオーの繪の深傷(ふかで)なすくれなゐ   ( 〃 )
冬の堅果(けんくわ)のごとき老年われは欲りここに黑き繪のフレンチ・カンカン   ( 〃 )
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8

「バルバラ」はジャック・プレヴェールの詩で、シャンソンになっています。
(シャンソン「枯葉」もプレヴェールだそうです。)
楠見朋彦「塚本邦雄の青春」(ウェッジ文庫)では、プレヴェールの詩の一部分を次のように紹介しています。
  ああ バルバラ
  ブレストは昔と同じに
  ひっきりなしの雨降りだけど
  もう昔とおなじでない すべてそこなわれ
  荒れはてておそろしい葬式(とむらい)の雨
     (小笠原豊樹訳、「虹彩(イリス)と蝸牛殻(コクレア) 映畫とシャンソン」より)
テロルに抗議し、亡くなられた人々を悼み、傷ついた人々の回復を願っています。われわれもパリ市民です。

危機かさなり

塚本邦雄
貝賣りの手に貝類の無色の血 革命といへど人の死の上   (日本人靈歌)
危機かさなりあへる彼方にわが家族乳酸すする杳(とほ)き目をして   ( 〃 )
世界の終焉(をはり)までにしづけき幾千の夜はあらむ黑き胡麻炒(い)れる母   ( 〃 )

年賀状の試行錯誤も継続中。
40年前のの愛機はマミヤC330でした。
ファインダーをポロミラーボックスに交換しましたが、このポロミラーは日本光学製です。
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久多から鞍馬へ、府道38号線で抜ける途上。たぶん、広河原 杓子屋町というあたりかと。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOKTON 25mm F0.95
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M.ZUIKO 75mm F1.8

ラ・マルセイエーズ

塚本邦雄
ラ・マルセイエーズ心の國歌とし燐寸(マッチ)の横つ腹のかすりきず   (綠色研究)

塚本邦雄『黄金律』の中の『紅葉變』より
言葉敵よりたまはりしかすりきずこの日薔薇色の富士を見たり   (黄金律)
くれなゐの核爆發は共に見むいましばし死んだふりしてゐよう   ( 〃 )
星夜なりこころゆららにひらきみる地圖のティティカカ湖に櫂の音   ( 〃 )

久多へ行く途上で撮りました。たぶん、滋賀県大津市葛川木戸口というあたりかと。
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SUMMILUX 15mm F1.7
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

ははと笑い立ちつくす

塚本邦雄
孤兒院へあたらしき孤兒、暗紅の風船をさむき夕空に曳き   (装飾樂句)
木犀一把 霜一つかみ 肉厚き男らはまはだかを著よとぞ   (感幻樂)
母てふはははと笑ひて立ちつくす冬の芒のごとき女人ぞ   (黄金律)

なお京都久多。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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SUMMILUX 15mm F1.7
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

半生にいくたり ~京都久多

塚本邦雄
夕霜に映ゆる射干玉(ぬばたま)そもわれは半生にいくたりをあやめし   (不變律)
歌すつる一事に懸けて晩秋のある夜うすくれなゐのいかづち   (詩歌變)

きょうは京都の山里へ。
「(小浜から京都出町柳まで)京は遠ても十八里」と言われた往時の鯖街道(『小浜街道』)だそうです。そのちょうど中間にあたる久多です。
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NOKTON 25mm F0.95
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NOKTON 25mm F0.95
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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TOKINA Reflex 300mm F6.3

創るべし ~Calendar 2016年1月

塚本邦雄
冬のダリアの吐血の眞紅 おほきみの邊にこそ死なざらめ死なざらめ   (魔王)
勞咳の父の晚年 愕然と冬麗の護國神社の前!   ( 〃 )
老麗(らうれい)てふことば有らずば創るべし琥珀(こはく)のカフス釦(ボタン)進上   ( 〃 )

年賀状づくりと並んでカレンダーづくりも始めました。
ことしの一月に撮った写真をつかって。
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なすこともなきひるさがり

塚本邦雄
立冬のなすこともなきひるさがりひと來てたまひけるあめのうを   (風雅)
發想の還らざるかなよひよひに群靑(ぐんじやう)の枯蓮を夢みて   (豹變)
地圖に見て「不來方(こずかた)」銀のひびきあり莫逆の友ここに眠れよ   (獻身)

年賀状を試行錯誤中です。
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安逸

塚本邦雄
外より覗くわが夜の室に發光し安逸の口裂けし無花果   (日本人靈歌)
弱者すなはちわれより少し撫肩に描かれピカソの旅藝人(サルタンバンク)等   ( 〃 )
殺意ひめて生きつつ今日は従順に胸部寫眞を撮らるる梟首(けうしゆ)   ( 〃 )

残り物も乏しくなりゴミ箱から。
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8

不意にあやうし

塚本邦雄
うちつけに生とどこほるおもひあり忘じゐしこの萩吹く風   (黄金律)
黄昏(たそがれ)の不意にあやふしすぐそこに菊人形の荒武者の香   ( 〃 )
晩秋のかろきうつし身松蟲が餌(ゑさ)の胡瓜の峰踏みはづす   ( 〃 )

10月の残り物から甲賀土山宿。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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KOWA PROMINAR 8.5mm F2.8
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

いささか憂へ

塚本邦雄
秋ふかくうつそみ熱しいつの日に翡翠てふ名の處女(をとめ)に逅はむ   (黄金律)
男と生れたるをいささか憂へつつ萩植う 二年後は萩明り   ( 〃 )

本日は土曜日なれど仕事です。
その合い間にちょっとカメラを取り出して。
仕事中にする私的な行為は、規範意識が老化現象をきたしている証拠です。
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ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2.0 Macro
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ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2.0 Macro
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ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2.0 Macro
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ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2.0 Macro
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ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2.0 Macro

どこで乘り換へるのか

塚本邦雄
霜天のひかりするどく刺さり來てわがてのひらのきずかず知れぬ   (透明文法)
紅葉溪行きの車掌のバッソ・プロフォンド他界へはどこで乘り換へるのか   (詩歌變)

なおなお残り物。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

つかのま

塚本邦雄
女童(めわらは)にめぐりあふべき赤き雲引きて木琴の上の夕空   (豹變)
はつかなる霜をまとひて路肩(ろかた)なる鶉の轢屍體が燦爛   (魔王)
鶉割きてその花いろの肝くらふ啖へをとこのいのちつかのま   (感幻樂)

なお残り物。
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TOKINA Reflex 300mm F6.3
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TOKINA Reflex 300mm F6.3

さびしきよろこびの禁煙車

塚本邦雄
晚秋の霜消えぎえに旅行くとさびしきよろこびの禁煙車   (黄金律)
二人ゐて孤立無緣の秋ふかしみちのくの歌枕に狹布(けふふ)   ( 〃 )
年齒五十に過ぎざるきみがなにゆゑに命(めい)知らむ 雲のにほひの雁   ( 〃 )

他の方々のブログで、うつくしい紅葉の写真の数々を見て、いまさらと思いつながら、美しくもない写真を恥知らずに10月の残り物。
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TOKINA Reflex 300mm F6.3
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8

ここも明日

塚本邦雄
聖母像ばかりならべてある美術館の出口につづく火藥庫   (水葬物語)
男やもめ奔放にして室外へつつぬけに秋の室内樂   (黄金律)
酔漢のなみだ玉散る酒場サン・セバスチャンここも明日滅ぶ   (されど遊星)

10月の残り物。
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ZUIKO ED 8mm F3.5 Fisheye
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ZUIKO ED 8mm F3.5 Fisheye
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ZUIKO ED 8mm F3.5 Fisheye

ほのぼのと

塚本邦雄
イエスに扮したりけるイエス霜月の噴水が苦しみて水噴く   (閑雅空間)
樹蔭(じゆいん)に干し忘られゐたる神父の襯衣(シヤツ)月させば神父よりも輝く   (装飾樂句)
無花果のうちなる花や前(さき)の世にわれほのぼのと命絕ちけむ   (森曜集)

もうすこし池田山で。
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TOKINA Reflex 300mm F6.3
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

さえずれる一群の中さえずらぬ一羽

塚本邦雄
囀れる一群の中さへづらぬ一羽あらむに銀の夕映   (黄金律)
アメリカ背高泡立草三ヘクタール生きて虜囚の辱(はづかしめ)を受けよ   ( 〃 )
盞に月光滿たしたるのみのわかれ四十年(しじふねん)まへのこひびと   ( 〃 )

池田山。
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TOKINA Reflex 300mm F6.3
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TOKINA Reflex 300mm F6.3
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M.ZUIKO 75mm F1.8