水無月のたまゆら

塚本邦雄
白罌粟のみのるは見つつ水無月のたまゆらにして詩歌涸れたり    (されど遊星)
櫻桃處女(あうたうをとめ)ますぐにあゆむすがた佳しいかづち眞上より隕ち來(きた)れ    (約翰傅偽書)
軍歴皆無のわれも勇んで吐き飛ばす櫻桃(あうたう)の種一列横隊    (詩魂玲瓏)

愛宕念仏寺(おたぎねんぶつじ)。
有名な西村公朝氏が住職だったそうです。知らなかった。
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M.ZUIKO 17mm F1.8
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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M.ZUIKO 17mm F1.8

伴侶

塚本邦雄
靑嵐ばさと商店街地圖に山川呉服店消し去らる    (黄金律)
われの戰後の伴侶のひとつ陰險に内部にしづくする洋傘(かうもり)も    (装飾樂句)

大覚寺で。
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SUMMILUX 15mm F1.7
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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SUMMILUX 15mm F1.7
2-LR5__M521869-3.jpg
4-LR5__M521844-3.jpg
NOCTICRON 42.5mm F1.2

おろかに暑し

塚本邦雄
生きのびて癡(おろ)かに暑し火喰鳥蒼然として羽抜けかはる    (装飾樂句)
さみだれの沖なりけれど枇杷色の少女艀(はしけ)の上駈け移る    (歌人)
靑年を戀ふる壮年 みづいろに盥の底を夏至の陽過ぎつ    (感幻樂)

雨のちくもり、一時小雨。
京都、大覚寺で。
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SUMMILUX 15mm F1.7
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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SUMMILUX 15mm F1.7
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

昇る人一人

塚本邦雄
空梅雨に深井の水の香の昇る人一人殺しおほせざる悲しみ    (豹變)
梅雨夕映紅(べに)の諸相をつくしけるままに鶸の餌買ひそびれたり    (歌人)
こめかみに薄荷塗る靑水無月のこの星をおきいづくに行かむ    (されど遊星)

なお孤篷庵の周辺で。
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M.ZUIKO 17mm F1.8
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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SUMMILUX 15mm F1.7
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

高度成長時代、サザエさんの四コマ漫画で、
国鉄(現JR)の運賃値上げに、波平が不満をいうと、
駅員が「(値上げをしたかわりに)切符を大きくしました。」
マスオさんが「豆腐じぁあるまいし。」
というのがあったような記憶があります。
豆腐じぁないけど、ブログ画面の写真を少し大きくしました。

過ぎてかえらぬ

塚本邦雄
くちなしの花のをはりの街に見し喪章より黑くかろきながし眸    (歌誌『靑樫』 L氏のための二十行詩)
空地には軍靴裏向け干されゐき その上を過ぎてかへらぬ蝶ら    (装飾樂句)
戀人の葬送の雨嘉(よみ)せむに一天にはかに晴れてしまつた    (黄金律)

なおもご近所の散歩写真。
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Zuiko ED 50mm F2.0 Macro
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Zuiko ED 50mm F2.0 Macro

立志いな

塚本邦雄
ヴィスコンティの遺産數億 あぢさゐの花踏みつぶしつつ心冷ゆ    (黄金律)
夏至の光に湯の冷むるよりはるばるとレスラーがはがひじめのはにかみ    (綠色研究)
立志いな屈志といはむ梅雨寒の白孔雀向うむきにゆまる    (花劇)

ご近所で。
マークIIのせいで出番がなくなった初代E-M5に、フォーサーズ・マウントの50mmマクロをつけて、
昼食後に、ご近所を散歩をしました。
見慣れた景色が新鮮でした。
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Zuiko ED 50mm F2.0 Macro
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Zuiko ED 50mm F2.0 Macro
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Zuiko ED 50mm F2.0 Macro

なみだはみづうみの岸の白波

塚本邦雄
長者原出てみなづきの木の閒より最上川の紺うするるを見つ  (新歌枕東西百景 山形県最上郡舟形町長者原)
朝までの妻よなみだはみづうみの岸の白波千々(ちぢ)にくだくる ( 〃  滋賀県坂田郡米原町朝妻筑摩)
みなづきのしんしんとして愛享(う)くる縞なす影は樹々の梢(うれ)より  ( 〃  高知県宿毛市沖の島町鵜來島)

琵琶湖で。撮影後すこし南下したら米原市朝妻筑摩でした。
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NOKTON 25mm F0.95
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M.ZUIKO 75mm F1.8

往きて住みなむ

塚本邦雄
圓塔のある街にまたかへり來しつばくろに北の情話を聞くも  (歌誌『靑樫』 L氏のための二十行詩)
死さへ情婦となしたる父か籐椅子をはみだして四肢のその萱草色(くわざういろ)  (詩魂玲瓏)
みなづきに往きて住みなむうつくしき國たとふればなまよみの甲斐  (詩歌變)

琵琶湖で。
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M.ZUIKO 17mm F1.8
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SUMMILUX 15mm F1.7

ズームレンズを使っていれば面倒なレンズ交換をせずに済んだのに、と思います。
ズームなら、一枚目の17mmの写真はあと1mmか2mm長めの焦点距離で、二枚目の15mmのほうは3mmか4mm短めの焦点距離でとっていたでしょう。
しかし、そのようにして画面構成をしても、きっと結果に失望したと思います。元々センスがないのですから。
単焦点で、撮れる写真を撮って撮れない写真をあきらめる。その方が、自分の能力にあっています。

こころの夏至

塚本邦雄
夏至の夜の孔雀瞑(つむ)れる孔雀園くれなゐの音樂は歇(や)みたり  (星餐図)
あたらしき墓立つは家建つよりもはれやかにわがこころの夏至  (綠色研究)
夏至はこころの重心ゆらぐ「わたつみのいろこの宮」の切手舌の上(へ)  (歌人)

孤篷庵の付近で。
ここは旧東浅井郡浅井町。
わたしの好きな花畠、自動車、道を守っているリス(?)、田圃を守っている包丁(?)。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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M.ZUIKO 17mm F1.8
3-LR5__M520806-3.jpg
NOCTICRON 42.5mm F1.2
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M.ZUIKO 17mm F1.8

3枚目では小さいのですが、M.ZUIKO 75mm F1.8で撮った下の写真なら何なのか分かりやすいです。
こちらのほうがブログ向きと思うのですが、プリントしてもつまらない写真です。
PCのディスプレーに限界を感じてしまいます。
TVに映すといいのでしょうか。かつて6×6判のスライドは迫力があって好きでしたが。

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父に肖(に)ざる

塚本邦雄
父に肖ざる詩才おそらく亡き母はあはれまむ水無月(みなづき)の雲雀  (豹變)
大和橿原雲梯(うなて)の町に父の墓ありとぞゆきのした散りまがふ  (天變の書)
グリム嫌ひイソップ嫌ひ父に臀百叩かるる夢を愛して  (森曜集)
父たるは死の神たるにひとしきか ひとし火の色の套靴(オーヴア・シユーズ)  (水銀傳説)

なお近江孤篷庵。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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SUMMILUX 15mm F1.7
3-LR5__EE09662-3.jpg
SUMMILUX 15mm F1.7
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SUMMILUX 15mm F1.7

日常に

塚本邦雄
涙もて一人はおかむほととぎすほのかたらふをわれは知れれど  (靑き菊の主題)
暴動羨(とも)しけれ わがむねに昏昏と僧帽瓣の紅き僧帽  (水銀傳説)
日常にわれら死す 夏ひばり火の囀り耳の底に封じて  (星餐図)

近江孤篷庵。
小堀遠州の庭と紅葉の名勝だそうです。
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOCTICRON 42.5mm F1.2


露の世に

塚本邦雄
死なざれば名もなき男露の世にほととぎす著け劍! と啼きしか  (靑き菊の主題)
花石榴ふみにじりつつ慄然たり戰中派死ののちも戰中派  (魔王)
さみだれの夜半に憶へばそのむかし「天壌無窮」と言ひき 何がか  (黄金律)

庭に咲いていたルリギク。花にいたムシはカンタンのような昆虫でしたが、何かは知りません。
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOCTICRON 42.5mm F1.2

腐臭ただよひ

塚本邦雄
旱天の螢やあはれ背を割りてあふるる黑き罌粟のはなびら  (閑雅空間)
あじさゐに腐臭ただよひ 日本はかならず日本人がほろぼす  (風雅黙示録)
「雨月」は雨の彼方に見ゆる月ならずロペスが葡萄牙語(ポルトガルご)の舌打  (約翰傅偽書)

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NOKTON 25mm F0.95
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
3-LR5__5170168-4.jpg
NOCTICRON 42.5mm F1.2
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NOKTON 25mm F0.95

なみだふる

塚本邦雄
春の日はたちまち通し枇杷の實をすすりつつ見る淡き押花  (新歌枕東西百景 愛知県西春日井郡西枇杷島町押花町)
みなづきの獵夫(さつを)水射よあざらけき黄の影うつす天の枇杷の實  (新歌枕東西百景 富山県射水郡大門町枇杷首)
白妙(しろたへ)の鷺草(さぎさう)の花昨日(きぞ)咲きぬひびくはなみだふる街の歌 (新歌枕東西百景 三重県桑名郡木曾岬町白鷺)

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CANON 50mm F0.95
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M.ZUIKO 75mm F1.8
3-LR5__M520508-3.jpg
M.ZUIKO 75mm F1.8

塚本邦雄の短歌は私の頭を調教するための道具です。
その歌は、私にとってけっして心地よくないし、反発や反感をいだくこともままあります。
しかし私の感じるこうした不快感は、私のもつ調和の感覚を逆なでするからです。
予定調和のヌルマ湯を排除できるようになるための調教になるのではないかと、塚本邦雄をたのんでいます。
写真も予定調和から脱出したいのです。

塚本邦雄
榮光喪失(エクリプス)てふ言葉ありける 紫陽花の紺より銀にうつろふ深夜  (歌人)

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Zuiko ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD
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Zuiko ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD
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Zuiko ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD

こころ浅くして

塚本邦雄
こころ浅くして六月の花楓あまたをやみに散らしめにける  (歌人)
綠靑の梅雨あかときに聲ありて「軍人ハ背信ヲ本分トスヘシ」  (獻身)
粥煮ます母に寄り添ひ見る雨は木々の新芽に沁みゆきにけり  (歌誌『木槿』)

なお。
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SUMMILUX 15mm F1.7
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NOCTICRON 42.5mm F1.2
3-LR5__5170171-3.jpg
NOCTICRON 42.5mm F1.2

待てばかならず

塚本邦雄
螢籠に死せるほたるはともりつつにほふ みだるることばのはじめ  (感幻樂)
待てばかならず凶報あらむうれしうれし梔子が三日經て褐色に  (黄金律)
若葉より靑葉に移るくらがりをかきさぐる妻が白きてのひら  (同人誌『くれなゐ』1948 8月)

6月に撮影行に行ってないので、5月17日の京都の写真を。
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SUMMILUX 15mm F1.7
3-LR5__EE78924-4.jpg
NOKTON 25mm F0.95
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NOCTICRON 42.5mm F1.2


エヴィアン水を

塚本邦雄
くちなしの實煮る妹よ鏖殺ののちに來む世のはつなつのため  (水銀傳説)
フランス土產のエヴィアン水をふりかけてやりぬ額紫陽花が嬉々たり  (黄金律)
父を選ばば七人の敵一人づつ消しアフリカの空に蝶採る  (されど遊星)

本日出勤のついでにカメラも持参して久しぶりにズームレンズで気楽に手抜きで。
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Zuiko ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD
1-LR5__RD28341-3.jpg
Zuiko ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD
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Zuiko ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD

水銀色の雨

塚本邦雄
つたへてよ流離(りうり)の母ははつなつのその草刈りてしたたる汗(あせ)  (花にめざめよ)
歌ふべきか水無月すでにはかなくて蒼朮(さうじゆつ)の香のそのあさごろも  (豹變)
おもひでは千酌(ちくみ)、七類(しちるい)、佐陀(さだ)、惠曇(ゑとも)いつも水銀色(すいぎんいろ)の雨降る  (新歌枕東西百景)

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LUMIX G 20mm F1.7
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LUMIX G 20mm F1.7

オーネット・コールマンが亡くなりました。
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六月の水を

塚本邦雄
靑年に晚年ありて六月の水をしきりに呼ぶ出羽の國  (黄金律)
十三階より眺むればあかときの救急車にはあぢさゐが似合ふ  ( 〃 )
刀葉林(たうえふりん)の女人おもへば水無月の風上にして煮らるる瀝靑(チヤン)  (豹變)

「刀葉林」は愛欲に溺れた男女が行くという地獄だそうです。知らなかった。
葉が刃になっている木が生えていて、木の上から女が男を呼ぶのだとか。男が木に登ってみると、今度は木の下から呼ぶ声がする。木を登ったり降りたりする男は、刃の葉でずたずたに。痛そうです。

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LUMIX G 20mm F1.7

六月のうつそみ

塚本邦雄
すみやかに月日めぐりて六月のうつそみ淡く山河(さんが)濃きかな  (黄金律)
はるる水みどりにさわぐ魂のみなもとにむらがれる蝶を刺せ  (花にめざめよ)
思ひ出でよ離騒(りさう)心を刺す夏の日のはじめなる瀕死の螢  (星餐図)

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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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CANON 50mm F0.95
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CANON 50mm F0.95

梅雨の靴臭う暗がりに

塚本邦雄
ぬばたまの黑(ネロ)の紫陽花 死ののちのわが王國の象徴(シンボル)として  (約翰傅偽書)
蕗煮つめたましひの贄(にへ)つくる妻、婚姻ののち千一夜經(へ)つ  (綠色研究)
梅雨の靴ふくれあがりて暗がりに臭ふ〽戀人よわれにかへ***るな  (日本人靈歌)

まだ亀山公園。
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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CANON 50mm F0.95
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CANON 50mm F0.95

つゆ至る

塚本邦雄
無用ノ介の明眸ひとつ 星月夜にはかにかきくもり梅雨(つゆ)至る  (風雅黙示録)
刹那の人生と言へれば水無月に流連(ゐつづけ)といふふりがなあはれ  (黄金律)
母ははじめから晩年の靑水無月うすものにうすものをかさねて  (詩魂玲瓏)

亀山公園。
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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CANON 50mm F0.95

杞憂くせ

塚本邦雄
砲火にてあたためし地の収穫を賣り渡しをり黑き麥の穂  (装飾樂句)
杞憂癖子らにつたへて麥秋の父のカンカン帽たまごいろ  (日本人靈歌)
ミラノ水無月聖レオナルド口ひびく晩餐の主(しゆ)をくれなゐに描(か)き  (されど遊星)

三重県亀山市亀山公園で。
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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M.ZUIKO 75mm F1.8
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CANON 50mm F0.95
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CANON 50mm F0.95

去年も同じ此処へきてNOKTON 25mm F0.95で撮ったので、今日はCANON 50mm F0.95をもって来ました。
もともと6x6判の75mm F2.8で撮る中距離の写真、その被写界深度と画角が好きですが、いま使っているm4/3のカメラでは、NOKTON 25mmが、画角がせまいけど、かろうじて近い結果が得られます。
CANON 50mm F0.95はレンジファインダー用なので、最短撮影距離が少し大きいのが不便です。m4/3では100mmになってしまうし。75mm F2.8の被写界深度は50mmならF2程度なので、CANON 50mm ならさらに浅い被写界深度で撮れることがうれしいけれど。
CANON 50mm は古いレンズなので、保険としてM.ZUIKO 75mm F1.8も用意して行きました。こちらは50mm F1.2程度の被写界深度です。


思いはかなき

塚本邦雄
六月、マルセーユの荷揚人足のランボーが眞紅の荷のごとし  (水銀傳説)
麥色に暁(あ)けたりわれと籠(こ)の雲雀昨日か世界事畢(をは)りける  (靑き菊の主題)
飮食(おんじき)の思ひはかなき靑麥の穂は花店に束ねられたり  (驟雨修辭学)

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はるけく六月の

塚本邦雄
なんぢ憎めりしもはるけく六月の眞晝くらぐらとくれなゐの鯉  (風雅)
愛あらずとも擁くここにたちばなのかをりなだたる水無月の修羅  (星餐図)
籠(こ)の雲雀するどきこゑにあらそふを見ずて駆け抜けたり麥少女(むぎをとめ)  (歌人)

揚輝荘。
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むきつつおもうべきこと

塚本邦雄
六月は明日の花屋に緊縛をとかれてはじけだすかきつばた  (歌人)
靑葉明りに聖家族像いづくより不在の父の香は流れ來る  (睡唱群島)
蕗むきつつおもふべきことならざれど馬の赤血球七百萬  (豹變)

京都で。
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ああうらがえる 

塚本邦雄
輸卵管なめらかにある新綠の夜の溫室に放蕩息子  (透明文法)
花をはりたるはわが身か甲賀郡信樂の水無月がみづみづし  (黄金律)
六月の紺のみづうみ 英靈が力盡き果てああうらがへる  (約翰傅偽書)

京都で。
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くらくらと

塚本邦雄
言葉は神としいへどさみだれの犀川に犀のゐざる不可思議  (黄金律)
くらくらと立つ水無月の歩道橋赤の他人の老いゆくを見て  ( 〃 )
靑麥の穂波の中の黑穂みな抽き去りぬはるかなるわが妻よ  (透明文法)

緑系を、揚輝(ようき)荘で。
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樹々の間を

塚本邦雄
われを撃て麥秋のその麥の間を兵士のわれがおよげるを撃て  (魔王)
こころざし浅かりければ六月の靑嶺がわれを遠巻きにする  (黄金律)
世界とは何なりけるか六月の鶺鴒あはれ樹々の間を飛ぶ  ( 〃 )

新緑をあつめてみました。
京都広隆寺と名古屋揚輝(ようき)荘で。
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