ゆく春や

塚本邦雄
黙(もだ)せどもくちびるさむしまないたの燭魚(はたはた)の目にのこるさざなみ  (歌人)
ゆく春の鰈売られつ洗ひ朱の卵のどもとまでこみあげて  (豹變)

きのうにひきつづいて明日香村稲淵。
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南淵先生に出会った日

塚本邦雄
あかときに零(ふ)るはフォーレか靑杉の實かみみしひてのちに聽(き)きなむ  (閑雅空間)

明日香、南淵先生墓のある村で。
南淵先生は、中大兄皇子と中臣鎌子がともに学んだ塾の先生だそうです。
松下村塾を連想してしまいました。
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さざなみの空間

塚本邦雄
ディヌ・リパッティ紺靑の樂句斷つ 死ははじめ空間のさざなみ  (星餐図)

きのうのつづきです。亀山市にあるお寺のフジです。
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ここは、大巌寺(亀山市)。いずれもズミルックス15mm 1.7で。

田園は新しいレンズで

塚本邦雄
幻視街まひる昏れつつ賣る薔薇の卵、雉子の芽、暗殺者(アササン)の繭  (靑き菊の主題)
暗殺の豫感眞靑(まさお)ににほひ來と歌へはらわたのかたちのホルン  (感幻樂)

ご近所で。
新しいレンズ一本で。
はやく慣れるために。
15mm、F1.7開放ばかり撮ってきました。
このレンズに好かれたいと思って。
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いささかの歓び

塚本邦雄
俎に雉子(きぎす)の肝のむらむらと蒼し 政治とはわれの何なる  (歌人)
いささかの歓び兆しすぐに消ゆ沈丁の香の円周の外  ( 〃 )
エンサイクロペディア・ブリタニカ賣り拂ひ養老院の華と謳われよ  (詩歌變)

本日は投票日。写真は明日香。
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Summilux 15mm f1.7を買いました。
ズミルックスというブランドは高根の花で、自分の所有にするとは、以前思ってもいませんでした。これもマイクロ・フォーサーズを使っているおかげです。
Zuiko 17mm f1.8も使っているのですが、Summiluxのほうが発色がいいように思うのは、刷り込みのせいかも。
66判のころにセコールからニッコールに変えて、発色の変化にビックリしたことを思い出します。

をとめきたりてをときめきと読み違える石舞台で

塚本邦雄
窈窕たる処女(をとめ)きたりて四月尽未来味覚論まくしたてたり  (風雅)

明日香、石舞台。
サクラは散りつくしていましたが。
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サクラさよなら

塚本邦雄
すでに初夏(はつなつ) つらつら見れど實朝に櫻の秀歌一首もなし  (黄金律)

はやくも夏日のニュース。サクラさよなら。
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青雲のこころざし、なつかし


塚本邦雄
死語としてかつ詩語として「靑雲のこころざし」ほろにがき燒目刺  (獻身)
春夜急行列車驅けつつ靑年が抱くスキーの黑き足桎(あしかせ)  (驟雨修辭学)
アウシュヴィッツのヴィッツに嚙みし二枚舌以後百餘日絶食續き  (約翰傅偽書)

サクラを一休みして、駄知町。
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花色の海

塚本邦雄
見ぬ世はや花色の海わがために睡りつつ歌唱ふ島あれ  (睡唱群島)
バイロンのギリシアに斃れたる四月十九日茄子苗に陽がさす  (歌人)
まなうらに修羅へのみちは顕(た)ちつつをあゐおぼろなり辻ヶ花裂(つじヶはなぎれ)  (星餐図)


なお恵那市”新田(しんでん)の桜”。
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おわりの花の

塚本邦雄
花傳書のをはりの花の褐色にひらき 脚もていだかるるチェロ  (綠色研究)
晩春の移轉絢爛としてあはれ鸚鵡の籠がしんがりに蹤(つ)き  (黄金律)

恵那市上矢作町の”新田(しんでん)の桜”です。18日に訪れました。
うつくしいサクラでした。
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まひるとあひる

塚本邦雄
まひる金環蝕寂けきを咒ひつつ逆さに下りくる春の蜘蛛  (綠色研究)
熱湯にあひるの卵死ののちもうごきつつ遠き男聲合唱(オルフエオン)<花>  (日本人靈歌)

土岐市駄知を一休みして、季節物を先に。
サクラが咲いていると気になります。
恵那市。
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ニッパーのいる風景

塚本邦雄
赤貧嗤(わら)ふごとしといへど花冷えの朝かろやかにわれの肝膽  (波瀾)

なおも駄知町で。
山に囲まれた美濃焼の産地でどんぶりの町だそうです。ビクターのNipperがいました。
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すぎゆきとゆきすぎと

塚本邦雄
鍵孔から覗けば黑きてのひらにすきとほりゐる雲雀の卵  (水葬物語)
寶石函につけて女帝へ鄭重にのびちぢみする合鍵獻ず  ( 〃 )
すぎゆきがゆきすぎとうちかなりて林檎くされり春のあけぼの  (黄金律)

岐阜県土岐市の駄知へ行きました。
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そらみつやまと

塚本邦雄
楚辭はわがこころを超ゆる春暮れて初夜(そや)雁の聲ほのかに赤し  (されど遊星)
春の雁わたりつくして灰色のそらみつやまと、その空の創(きず)  (汨羅變)
征露丸てふ戰犯的に過激なる賣藥なつかしき復活祭(イースター)  ( 〃 )

ご近所の桜の六。
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平和ののちの四月

塚本邦雄
河馬の背に小禽あそべりおそろしき平和ののちの四月の霙  (波瀾)
鬱金櫻支離滅裂に吹かれゐついつか露領となるか日本も  (約翰傅偽書)
かならず國をきらひとほさむとほくより見れば春泥に溺るる蝶  (黄金律)

ご近所の桜の五。
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みだりなるか

塚本邦雄
核家族 今日のみならぬ寒食(かんじき)にしろがねの肉又(フオーク)さしかはすなり  (詩魂玲瓏)
杉の花天(そら)にみちつつ 反歌てふ透明の檻あればわれあり  (豹變)
杉の香の風吹くここに聖四月喫飯(きつぱん)のさまみだりなるかな  (星餐図)

ご近所の桜を振り返って、その四。
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ブリキの

塚本邦雄
優しき歌選りて敎ふる日日の吾子よブリキの喇叭を厭ひ  (水葬物語)
春晝の死の静寂に一瞬閒戀ふるブリキの猿のシンバル  (黄金律)
寒卵かすかにうるむ「ヒトラーと音樂」の項讀みつつあれば  (閑雅空間)
少年蝶を逸せり さはれ一瞬を漆黑のヒットラーの口髭  (綠色研究)
西ドイツ孤児院の子の繪に火喰鳥と歪みし王冠ありき  (装飾樂句)

ギュンター・グラスがなくなりました。
ご近所の桜を振り返って、その三。

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ご近所の桜を振り返って (2)

塚本邦雄
秋篠月淸集巻頭の「春」の字にあゆみよりたる若き蟷螂(たうらう)  (黄金律)
杉の花天(そら)にみちつつ 反歌てふ透明の檻あればわれあり  (豹變)
前(さき)の世の菫の岸の一滴の血潮 奔馬のオートバイ過ぐ  (されど遊星)

鈴鹿医療科学大学。
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天に墜ち

塚本邦雄
出雲簸川郡(ひのかはごほり)に泊(は)てつ春晝の丹前にナフタリンのにほひ  (黄金律)
天に墜ちゆく揚雲雀わがたましひは日もすがら肉のうちにうかぶ  (感幻樂)

はやくも終わったご近所の桜を振り返って。
鈴鹿医療科学大学。
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含羞草(ミモザ)

塚本邦雄
塙生花店代替りこのごろの含羞草(ミモザ)まつたく羞しがらぬ  (黄金律)

桜の写真ばかりなので一日休憩して、ご近所の庭の写真で。
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おとづれて春

塚本邦雄
鬱金櫻咲ききはまれりカリグラ傳惨憺としてまつたく見事  (黄金律)
花はかすみにかすめりけれど半生の何すててわが歌のこりけむ  (不變律)
往かず還らぬわが日常におとづれて春の若狭の麻疹童子(はしかどうじ)よ  (森曜集)

京都府立植物園。
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なべて太古の春

塚本邦雄
うすべにの晴衣(はれぎ)の老女四辻をわたるあるいはあゆめる凶器  (風雅)
思ひ出すなべて太古の春のごと母が裁ちゐし支那縮緬(クレープデシン)  (黄金律)
春雪のおほひあませるあらがねの土なにが歌、歌ならざるか  (波瀾)

京都府立植物園。
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ひしひしとわれを去り  ~京都府立植物園

塚本邦雄
春月赤き宵宵にして孤獨なる下婢(はしため)が鹽をみだりに費(つか)ふ  (日本人靈歌)
復活祭人ひしひしとわれを去りくらがりに汗のてのひらひかる  ( 〃 )
土色に蝶孵りゐる夜の破風 いつしかも母に仕へて父は  ( 〃 )

京都府立植物園で、魚眼レンズを。
あまりの寒さに初蝶もどこかへ行ってしまいました。
あわただしく桜も。
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半木(なからぎ)の道

塚本邦雄
花の夜の博物館にもののふが甲冑の肩がくりと立てり  (黄金律)
ナプキンに書かるるアドレスの紅(べに)がにじみて宇治市木幡花揃(こばたはなぞろへ)  ( 〃 )
四月饐(す)えつつ匂ふ花ありランボーの處女作は「神よ糞(くそ)くらへ!」  (獻身)

京都へ行きました。
左京区下鴨半木(なからぎ)。
京都府立植物園の横、北山大橋と北大路大橋の間、賀茂川沿いのしだれ桜のトンネルです。
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先細りの「花」か

塚本邦雄
春寒料峭、文(ふみ)書きさして子のマザーグース童謠集父が讀む  (豹變)
従弟(いとこ)の遺品調べゐたればだしぬけになぜか自鳴鐘(オルゴール)の先細りの「花」  (黄金律)
綠青館驟雨ののちをしづくせりあとかたもなきけさの櫻か  (湊合歌集)

また桜ですが。明治村。
料峭は、春になっても寒さが残り風が肌にうすら寒く感じられるようすをいうのだそうです。
明日からは寒波がくるそうです。
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つたえがたきよろこび

塚本邦雄
春の港の袋小路の白壁の落書LUCAS船の名なるか  (黄金律)
復活祭 鋸(のこ)もて椅子の脚截るはちちははにつたへがたきよろこび  (水銀傳説)
なほざりに片陰の水の蚊を孵(かへ)しダンテの書のめくりきず  (されど遊星)

モノクロームの明治村。
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窓、窓、窓・・・

塚本邦雄
受難週聖句吊すとこの夕べ神父が鐵(くろがね)の梯子攀(よ)づ  (驟雨修辭学)
復活祭(イースター)まづ男の死より始まるといもうとが完膚なきまで粧(けは)ふ  (綠色研究)
復活祭 雨衣(うい)の少女の背に垂れて施物(ほどこし)を待つごとき頭巾(フード)よ  (日本人靈歌)

明治村。
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フラフラと

塚本邦雄
天に墜ちゆく揚雲雀わがたましひは日もすがら肉のうちにうかぶ  (感幻樂)
父の痛風知つて訪ひ來し初蝶か フラ・アンジェリコ、フラ・アンジェリコ  (不變律)

奈良。
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花曇り三日つづき

塚本邦雄
われの悲運にひそかにつながりて春のサーカスの大禮服の老人  (日本人靈歌)
春夜歸りくれば三丁目の角に秘密警察(ゲー・ペー・ウー)のごとき棕櫚の木  (黄金律)
親鸞も女愛せしとぞ おろかなる花曇り三日つづきて  ( 〃 )
人を憎みつつ愛しつつ宥しつつ車折(くるまざき)神社前の春泥  (獻身)

明治村。
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聖四月

塚本邦雄
聖四月いま濡るる公園、死にむきて鶴佇(た)ち自衛隊員あゆむ  (日本人靈歌)
雁塔聖教序(がんたふしやうぎやうじよ)まねびて口かわく眼底に花見えたるこころ  (黄金律)
三十年むかしの戀ぞ 灰皿の水に溺れて一羽の雲雀(ラーク)  ( 〃 )
遠方の春のいかづち箸を取る刹那ひびき來(く)「捧げ銃(つつ)」  ( 〃 )

明治村で。
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