2013/05/15


再び、飯沢耕太郎「深読み!日本写真の超名作100」の感想。
100(実際は101)の選択基準は様々だと著者は書いているが、基本的には「個性」「独創性」というラインはあるのではないか。
写真を容易に撮れるようになり、さらにちょっときれに仕上げることができるようになった。そんな世の中だから一層、写真家の自己主張が見える写真を選んだのではないか。
白川義員の山岳写真、秋山庄太郎の人物写真、前田真三の風景写真などなど、卓越した撮影技術はあっても自己表現のない写真は採り上げられていない。きれいなだけの写真は排除されている。
海外の写真も簡単に見れるようになった今日、かれらの写真に匹敵する写真は巷にあふれている。「日本」を冠する写真を採りあげるならば、海外写真の亜流は入れない、という意志が感じられる。
「日本写真」へのこだわりがあるのだろうという感想は、入江泰吉の写真が入っていることにもうかがえる。前田真三を採らないように、入江も入れないでも良かった。でも、大和の再評価、日本の再発見を撮りつづけた写真は、「日本写真」に欠かせなかった。これも、深読みだろうか。