無尽に
金雀枝縦横無盡に吹かれ西行が持ちかへりける砂金三萬兩 (不變律)
きのうにひき続き、亀山市楠平尾の「ささゆり」で。

M.ZUIKO 75mm F1.8

M.ZUIKO 75mm F1.8

SUMMILUX 15mm F1.7

M.ZUIKO 75mm F1.8
カシアス・クレイ、モハメド・アリの死亡をニュースが報じています。
一週間前の5月29日の塚本邦雄の歌について書きます。
『山巓にすれちがひたる黑人の美髯(びぜん)おそるべき夏がはじまる』の
「山巓」は「さんてん」と読んで山頂をあらわすことは、この歌を引用して初めて知りました。
歌人というのは難しい言葉を使うものだなあと驚き、
「さんてん」「こくじん」「びぜん」とン音の連続にこだわる美意識にも驚きます。
ある解説に、
西東三鬼『おそるべき君等の乳房夏来る』を下敷きにしている、
とありました。なるほど納得しつつ、しかし、「黒人の美髯」という設定には説明がありませんでした。
これが山男の美髯とか白人の美髯なら分かるような気がするのですが、
黒い皮膚に黒い髯ではほとんど目立たない。
西東三鬼が「おそろしい乳房」というのを踏まえれば、
塚本邦雄も「おそろしい夏」ではなくて、「おそろしい美髯」ではないか。
しかも、乳房が遠目でも目立つのに、美髯はすれちがう瞬間に目に入ってくる。
すぐ近くに来て初めて気がついた黒人の美しい髯のように、夏がすぐ近くにあった
というようなイメージではないかと思うのです。