さくらや、おとうとは

ご近所の桜をなおも。

塚本邦雄もサクラで、
 綠青館驟雨ののちをしづくせりあとかたもなきけさの櫻か
 さくら見えざるその夕つ方楚辞さらふこころ湧ききぬ 天に水音
 時すでに晩きさくらやおとうとは叡智に髪の根まで汚れつ

三首目を引用して山田洋次監督のあの映画を思い出しました。作者もそのつもりだったのではないかなあ。(笑)

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E-M5mk2 135mm

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E-M5mk2 135mm

花もきれいでしたが、年を経た幹もまたうつくしいと思いました。
ひび割れて、苔むして、傷だらけの幹をだれが老醜というでしょうか。
同様に年を経て傷んだわたしの身体は老醜そのものですが。(涙)

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E-M5mk2 135mm

遠くにサクラ咲き

ヘンゼルは魔法使いのおばあさんが昼寝をしている時間を盗んで家の外へ出ました。
外にはサクラ餅の匂いがただよっていましたので、その匂いをたどって一口食べようと歩いていくと、サクラが咲いた公園につきました。
見とれて帰宅時間がおそくなり、昼寝からとっくに起きていた魔法使いのおばあさんに家事労働にさんざんこきつかわれ、夕飯もいつもより2時間も遅くなりました。

というわけで、ご近所の公園で撮った桜を。

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E-M5mk2 135mm

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E-M5mk2 135mm

 煤色の脚を揃へてよろめけり鶴が 遠くに櫻咲きみち  (塚本邦雄)

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E-M5mk2 135mm

魚の目の

在庫払拭、博物館飽きた、桜が撮りたい、春よ来い、・・・と、鬱々と時間が過ぎていきます。
そんなせいか、きょうもたった一つのことをするのに三つも忘れものをしてしまいました。
歳のせいでなく、ストレスのせいです。せいだと思います。だと思いたい。

というわけでまたまた重箱の隅をつっついて。

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PEN-F 5.8mm

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PEN-F 5.8mm

 魚の目を削ぎてみ冬の旅ごころいづれの沖を死者渡りけむ  (塚本邦雄)

かめの水やみ

伊勢志摩と表記される地にある「海の博物館」は海と人間生活のかかわりを実物や模型で展示しているのですが、、
何気なく神の気配を感じる場所でした。海にかかわる人々の信仰心が展示物から伝わってくるからでしょうか。

石造の動物は「亀」ですか。「霊亀」だったら他に麒麟や鳳凰なども出てきそうですが、そんなものは見つかりません。
ガメラじゃないよね。(笑)

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PEN-F 42.5mm

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PEN-F 42.5mm

長崎外海の教会も一枚。頭のほうはどんどん退行していって、回想法などでは止まりませんが。

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カメ違いですが、大雑把な性格なのでまあOKということで、
 罌(かめ)の水やみにしたたりおとろへてふたつの千鳥あそぶ荒磯(あらいそ)  (塚本邦雄)

赤と黒

海の博物館は、黒く塗られた「木造」建築と赤く塗られた扉の対比が新鮮でした。
そろそろ撮影に出かけたいのですが、家事労働のシンデレラは毎日舞踏会の夢を見ているだけです。魔法使いが来ないかなあ。

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10年前の教会もまぜて、写真の残り少いのをごまかし、ごまかし。
魔法使いさん早く来てください。ガラスの靴ならず、レンズ磨いて待ってます。(笑)

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DP-1

 てのひらの迷路の渦をさまよへるてんたう蟲の背の赤と黑  (塚本邦雄)

よよよよと春

ここ半年間工事で通行止めだった職場の通路が使用可能になって、久しぶりに真新しくなった建物の中を通って、いつものエレベーターに乗ろうとして、「あれボタンが変わったのかな」と指を伸ばしてさわったのは非常通知のボタンでした。新しい通路の景色に気をとられてエレベーターも新しいものになったと思い込んだのでした。よくみれば、いつものエレベーターでした。
萩原朔太郎「猫町」そのままです。

朔太郎は自分の錯誤を『通俗の常識で解説すれば、私はいわゆる「狐に化かされた」のであった。』といっていますが、やっぱり世界は理性だけで理解できないと感じます。

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PEN-F 42.5mm

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PEN-F 42.5mm

 琴歌譜(きんかふ)の伊勢の神歌よよよよと春夜歯髄(しずい)を抜かるるわれに  (塚本邦雄)

鏡の蒼の世界に

むかし凹面鏡の中に入って気が狂ってしまうという小説を読みました。乱歩か夢野久作か、もう忘れていたのですが、魚眼レンズを覗くたびにその非日常の世界が頭の中をグルグルと回って、いえ、わたしの頭が非日常の世界の中をグルグル回って、遠心力でどこか未知の場所へ飛ばされるのではないかと思うのです。それは期待であり願望でもあります。

 合鏡(あはせかがみ)の蒼の世界に鬚剃ればわれとワーグナーの逢ひかず知れず  (塚本邦雄)

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PEN-F 5.8mm

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PEN-F 5.8mm

狂った頭もむかしは正常だった証拠に10年前の外海(そとめ)で撮った写真も。

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春なので

博物館は好きです。学習させる仕掛けが老化した脳を刺激して想像をふくらまさせるので、きっと「回想法」よりも効果があるに違いません。(だいぶん願望も入ってますが。)

ここは海女文化の地ということで関連した展示もたくさんありました。老いた海女のフィギュアがNHK「新日本風土記」そのままだったのは興覚めでしたけれど。

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PEN-F 42.5mm

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PEN-F 42.5mm

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多重露光

ところで『通学路』の脇を流れる川が春めいてきたので、その記念写真も一枚パシャっと。
右の方にカメが写りました。

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PEN-F 60mm

ご訪問いただいた皆様のブログを今日は訪ねられません。ごめんなさい。

硝子のオリ

海の博物館で撮ったガラス製の漁具で、ビン玉というものだそうです。小さいころからよく見かけたのですが、これまで名前は知りませんでした。

中学校で理科の先生から「ガラスは液体」と聞いたときはビックリしました。その一言で、液体、固体、気体の区別ができなくなって、わたしは理科が苦手科目になったのです。
たしかに、わたしが父から譲ってもらったオリンパスフレックスA2.8のズイコーレンズは徐々に風化が進んで、もう透明なガラスではなくなってきています。

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PEN-F 135mm

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PEN-F 135mm

塚本邦雄もガラスで
 硝子の檻に棲めばみじかき壯年のわれらがシャツの藍のたてじま
 若き獣を飼はむ硝子の檻の扉(と)のたて縞ぞわがたましひの縞

博物館にもどったので長崎の教会も一枚だけ。

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気分転換

博物館がつづくので、ここらで息抜きに、今日友人が誘ってくれたお散歩写真です。昨年も撮ったミツマタですが、やっぱり撮り方に進歩なしで、せっかくのお花に申し訳ない思いです。(涙)
まあ季節感が感じられるのでOKということにしました。(笑)

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PEN-F 50mm

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PEN-F 50mm

”お散歩”ですから、こんな写真も撮ります。

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PEN-F 50mm

 きさらぎの肝膽翳るひらかむとしてしろがねにうるむ三椏  (塚本邦雄)

ささやきの石の檻の

ふたたび「扉」です。博物館の各棟を外界と隔てる扉はすべて鉄扉でしたが、少しづつ表面の意匠が異なってました。
それが面白かったのです。

塚本邦雄も扉で、
 無花果をたべる二人のささやきの扉の外みかげ石つみかさね
 遁れ來し騎兵を容れて靑蔦の絡む石扉(いしど)を匂やかに鎖(さ)し
 若き獸を飼はむ硝子の檻の扉(と)のたて縞ぞわがたましひの縞

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PEN-F 5.8mm

外界ではなく外海(そとめ)の写真も教会の扉でひっそりと。

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塚本邦雄の「扉」をあと一つ、俳句ですが有名みたいです。
 ほととぎす迷宮の扉の開けつぱなし

潮にのりてくぐりて

「海の博物館」の展示物の中でも木造船は専用の収蔵庫があって圧巻でした。日常の漁業から神事まで様々な用途の船だけでなく海水浴場のボートまでありました。

塚本邦雄は漁夫で、
 漁夫の首赤し嵐の黑潮にのりてくぐりて歸り來しかば
 岬の果てに短軀の漁夫の鬚面(ひげづら)手づかみのうつくしき鰆よ
 海膽(うに)すすりつつ曉を漁夫步みわれは覺むいま下半身より

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きょう木村伊兵衛写真賞の発表があり、また、また、女性でした。(ごめんなさい、セクハラは老人の個性です。)
蛇腹のコダック・サーカットというパノラマカメラで撮ったそうです。
自己表現のためならほとんど骨董というカメラさえ使う「勇気」に打ちのめされます。

岩根愛さんの木村伊兵衛写真賞のニュースのとなりに『「堺筋」→「サカイ・マッスル」?大阪メトロ』というのがあって、思わず読んでしまいました。大阪なら許されそうに思ったのは、けっして大阪を侮辱してではありません。ユーモアとして受け入れるふところの深さが大阪にはあると思うのです。

長崎の教会も一枚だけこそこそと。

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釘打たるるもの

きょうは「海の博物館」建物編です。実物はもっともっと魅力的です。

「海の博物館」の建物は、日本建築学会賞、第18回吉田五十八賞、芸術選奨新人賞美術部門に輝いており、設計は東大名誉教授の内藤廣(ないとうひろし)氏だそうです。同館のHPには、●1992 日本文化デザイン賞 日本文化デザインフォーラム、●1993 日本建築学会賞(作品部門) 日本建築学会、●1998 全国公共建築百選 建設省、●2005 日本の建築空間100選 新建築編集部が紹介されていますが、もっとも価値のありそうな「吉田五十八賞」を欠いているのは、現在は同賞の選考がなされていないからでしょうか。しかし、最後の吉田五十八賞(1993年)を「海の博物館」が受賞しているのはいっそう意義あることのように感じます。

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「海の博物館」HPの建物を紹介している写真が良いのですが、”石本泰博撮影 photo by Yasuhiro Ishimoto”と記述されています。「石本泰博」は桂離宮の写真などで有名な「石元泰博」ではないのでしょうか。HPの写真を見る限り「石元泰博」的です。彼は 2012年に91歳で亡くなりましたが、建物は1992年に完成しています。

建物つながりで、一昨日までつづけた長崎の教会の写真も細々と、こっそり、一枚だけ。

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 寺院建築中ひたひたと荒莚垂りて釘打たるるもの見えず  (塚本邦雄)

次におとづるるものがおそろし

思い切って出かけました。半日だけの駆け足でした。ここは鳥羽の「海の博物館」です。
海女など、志摩地方の漁業と暮らしを展示していますが、建物も有名だそうで、海外からも建築目当ての来訪客があるそうです。

長崎外海の写真を続けてきて、海がこいしくなったのです。
でもあまりに久しぶりの撮影だったので、写真の出来はいまいちでした。

「扉」の写真から始めます。

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PEN-F 5.8mm

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PEN-F 5.8mm

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PEN-F 5.8mm

きょうの写真はレンズベビーの魚眼レンズで撮りましたが、トイレンズの範疇に入れるべきレンズと再確認した次第です。
そうです、私の腕のせいではなくてレンズがわるいのです。わるいのはレンズです。レンズであってほしい。レンズのせいにしといてほしい。そう思いたい。(笑)

 扉臙脂に塗りかへたれば秋風の次におとづるるものがおそろし  (塚本邦雄)

ひくく祈祷ひびけ

まだ外海です。家事労働でヒーコラです。昔はよかったなあ。

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 森かげにただよふ破船、そのくらき内部にひくく祈祷ひびけり  (塚本邦雄)