明治の桜

塚本邦雄
遠ざかりつつちかづける死ぞ春の霰くらひてたまゆらたのし  (黄金律)
春きざすとて戦ひと戦ひの谷間に覚むる幼な雲雀か  (水葬物語)

愛知県犬山市の明治村へ行きました。
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ありし日の

塚本邦雄
歌ありし日の夕つかた望みける山櫻なりふるへやまずも  (詩歌變)
博徒曳かれゆきそののちの夕櫻  (斷絃のための七十句)

なおなお奈良。
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さくらとなる刻に

塚本邦雄
夕ざくら夜さくらとなる刻にしてはたとラシーヌ忌を思ひ出づ  (黄金律)
探梅のきのふの香りよこがほに別れけり奈良帯解(おびとけ)の驛  (花劇)

なおも。
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咲くも咲かずも

塚本邦雄
はしきやし生駒郡(いこまごほり)は斑鳩町(いかるがちやう)三番地くらやみのやまざくら  (黄金律)
さくらなどこの世のほかの何ならむわれは心中(しんちゆう)に歌を弑(しい)せり  (波瀾)
山櫻咲くも咲かずも言葉こそ死を告ぐる時みづみづしけれ  (天變の書)

なおも奈良。
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花見にゆけ

塚本邦雄
母に示す青岸渡寺の護符一ひらこれ持ちて他界の花見にゆけ  (波瀾)
さくらばなもつとも近き屋上に舐めて釘打つ若き棟梁  (黄金律)
雲雀燒いてくらはむものをうらがなし母方の祖母(おほはは)の名やよひ  ( 〃 )

ひきつづき奈良氷室神社、二月堂、三月堂です。
きょうは閲覧注意、鹿のフンあります。
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桜を見たうれしさに写真をしくじる

塚本邦雄
大佛殿晝のたそがれ黑絹(こくけん)の傘半開きにして戀の人  (閑雅空間)
五重の塔のうちら仄かに光さしゐたる記憶とエスカルゴの食(け)  ( 〃 )
佛の座咲けり心にしろ何にしろまづしきものはふしあはせなり  (黄金律)

今年はじめての桜を撮りに、奈良氷室神社から二月堂、三月堂。
桜を見たうれしさに心おどって、ついピントを外した写真ばかり撮ってしまいました。後悔しきりです。
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春はやく

塚本邦雄
突然にわが寝室をよこぎりてまぼろしの沈丁花前線  (黄金律)
春はやく肉體のきず靑沁むとルオーの昏き繪を展くなり  (水葬物語)

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花の無い昨日明日

塚本邦雄
人さらひ去るや木賊(とくさ)の浅綠人に渇かずばいまかへり來よ  (睡唱群島)
有限のことばと知れど花の木のくれなゐの闇ここにおよぶ  (閑雅空間)
花の無い昨日(きぞ)より明日へ日時計の日に背き指す刻の翳りを  (水葬物語)

さくらの開花が噂にあがっているというのにまだ今年は一枝も撮れていません。口惜しまぎれに一年前撮った写真で。
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花と鹽と蠍の春とは

塚本邦雄
春季大掃除二階のラジカセのイゾルデのアリア停(と)めろ、いますぐ  (風雅黙示録)
おもふことさしてそれとは菜の花と鹽と蠍の春のゆふぐれ  (されど遊星)

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あなたは

塚本邦雄
父よあなたは弱かつたから生きのびて昭和二十年春の侘助  (魔王)
ことばよりこゑにきずつくきぬぎぬの空や野梅(やばい)の蘂の銀泥  (されど遊星)

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恥うつくしき日日は過ぎ

塚本邦雄
イエスは父に先立ちたるかおくれしか鋸屑(おがくず)にしろがねの忘れ霜  (黄金律)
すみれ咲く或る日の展墓死はわれを未だ花婿のごとく拒まむ  (星餐図)
水の上に死の鶯の眸(まみ)とぢて恥うつくしき日日は過ぎたり  (靑き菊の主題)

なお梅園。
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早春の

塚本邦雄
父は悲愴なりとや春の夜の薄荷倉庫が薄(うす)き光をはなつ  (歌人)
拝啓時下煉獄の候 わかくさの苦艾(チエルノブイリ)も炎えあがるべく  (魔王)
早春の夜夜に逢ひつつ舌荒れし二人が糧(かて)のラクリマ・クリスチ  (水銀傳説)

ご近所の神社の梅園で。
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はしきやし世界

塚本邦雄
自動車廢棄場に春雨 はしきやし世界とめどなくくづるる世界  (黄金律)
寒旱つづくある日に口衝いて「新幹線瞬間接着劑」  ( 〃 )
慄然たるものを愛(を)しみて春の夜にCDの「君が代」を買ひ來つ  ( 〃 )

先月行った石徹白の写真に、2年前の写真をくわえて作成しました。
はしきやしは、いとおしい、なつかしい、いたわしいといった意味だそうです。


みち往くさ

塚本邦雄
まひるまの渇き猩猩緋(しやうじやうひ)とおもへ石動(いするぎ)のみち往くさかへるさ  (花にめざめよ)
秋風の曾曾木(そそぎ)の海に背を向けてわれは靑天よりの落武者  (天變の書)
都鳥やつるるころの花見月ちりぢりの愛よみがへるな  (新歌枕東西百景 石川県鹿島郡鳥屋まち六日市抜月)

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