水晶細工のやうに

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改札口には、明るい紫がかつた電燈が一つ點いてゐるばかり、誰も居ませんでした。
そこら中を見ても、驛長や赤帽らしい人の影もなかつたのです。
二人は、停車場の前の、水晶細工のやうに見える銀杏の木に圍まれた小さな廣場に出ました。
宮沢賢治「銀河鐵道の夜」より

山里で

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滋賀県高島市朽木生杉にて

峠の上りも下りも

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宮沢賢治「銀河鐵道の夜」より
なにがしあはせかわからないです。ほんたうにどんなつらいことでもそれがただしいみちを進む中でのできごとなら、峠の上りも下りもみんなほんたうの幸福に近づく一あしづつですから。

滋賀県高島市朽木おにゅう峠にて

雲海の

雲海の底を歩めり魚のごと 角川春樹

滋賀県高島市朽木おにゅう峠にて

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朝霧がそのときに ちょうど

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峠をわたしが 越えようとしたら 朝霧がそのときに ちょうど消えかけて 一本の栗の木は 後光をだしていた
   宮沢賢治「ポラーノの広場」より

滋賀県高島市朽木小入谷にて

午さがりの林道を うららかに青い空には陽がてり

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草ひばりのうたひやまない しづまりかへつた午さがりの林道を
うららかに青い空には陽がてり 火山は眠つてゐた        立原道造「萱草に寄す」より

恥ずかしいことに、最近まで、草ひばりがコオロギの一種と知らず、草むらの中にいるヒバリとばかり思っていた。
滋賀県高島市朽木小入谷にて

すきとほつた秋の風

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わたくしはこのはなしをすきとほつた秋の風から聞いたのです。     宮澤賢治「鹿踊りのはじまり 」より

滋賀県高島市朽木生杉にて

私語(ささやき)の声

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その音を聞いたばかりでも季節は知られた。
それは春先する、おもしろそうな、笑うようなさざめきでもなく、
夏のゆるやかなそよぎでもなく、永たらしい話し声でもなく、
また末の秋のおどおどした、うそさぶそうなお饒舌(しゃべ)りでもなかったが、
ただようやく聞取れるか聞取れぬほどのしめやかな私語(ささやき)の声であった。
                   国木田独歩「武蔵野」の中に引用された二葉亭四迷「あいびき」より

滋賀県高島市朽木生杉にて